七十八 雨垂れ石を穿つ
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が防がれる。
割り込んできた第三者に、常に無表情のペインの眼が驚愕に彩られた。
「アンタはどっち側だ?陽動か、探索か」
「探索にしては派手っすねぇ」
片や、注意深くペインふたりの動向を探る、長い金髪を後ろで纏めた色白の女性。
片や、更地と化したこの場を見渡して呆れたように緑色の髪を振る褐色肌の少女。
純白の衣を翻してカカシを庇うようにして佇むふたりが、木ノ葉の里の者ではないことは明らかだった。
裏地の黒に紅の雲。
同じ『暁』の証を身に纏っておきながら木ノ葉の味方をする“暁”に、困惑を隠せない。
カカシとペインが動揺している隙に、彼女達は小声でお互いに念を押した。
「尾獣化はするんじゃないよ、フウ」
「わかってるっすよ。アレはナーちゃんに許可を得た時だけっすもんね」
戦場には不似合いの朗らかな笑顔を浮かべる褐色肌の少女に、女性が溜息をつく。
ついでに、つい先ほど皆で呼び方を統一しようと取り決めたばかりなのに早速間違えている彼女を指摘した。
「“あるじ”と呼びな。さっき取り決めたばかりだろ」
「ナー…あるじちゃんはでも、奥の手では使っていいって言ってたっすよ」
「…使わないに越したことはないけどね」
呼び方を改めるも頑なに、ちゃん付けする褐色肌の少女──七尾の人柱力・フウに、色白の女性──二尾の人柱力たるユギトは諦めたように溜息を再度つく。
そうして改めて、ペインに向き合った彼女達は外見も性格も対照的でありながら、息の合った一言を同時に口にした。
「「さて、では──」」
それは折しも、他の人柱力が口にした志と同じモノだった。
「「あるじの望む、かつての“暁”を取り戻そうか」」
今現在、世間で犯罪者と思われている『暁』の悪評を払拭する。
“対話により争いをなくす”慈善団体──昔の“暁”の在り方に戻す。
それこそが、うずまきナルトの目的のひとつ。
その一歩を、尾獣の人柱力の六人は、木ノ葉の里内で勇ましく踏みしめた。
折しもペイン六道と同じ人数である彼らは、同じ信念と志を抱いて、歩み始める。
それは長い道のりであり地道で小さなものだったが、とても大きな第一歩だった。
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