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渦巻く滄海 紅き空 【下】
七十八 雨垂れ石を穿つ
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長の偉丈夫は呆れたように肩を竦めた。

「男らしく拳で決めようじゃねぇか」


肉弾戦を得意とする偉丈夫──五尾の人柱力のハンはどこか嬉々として、拳をペインのひとりに向かって突き付けた。


「さて、では──」



























「波風ナルはこの里にいるのか、いないのか?」

質問を重ねながら、近寄ってくる。
首を絞められ、捕まった忍び達は、つい先ほどまで視えなかった存在を敵の背後に認めて、戦慄した。

「な、なんだコレは…」

首を絞められ、窒息しそうになりながらも困惑と恐怖が入り雑じった声音を零す。
閻魔大王を思わせる怖ろしい存在が、ペインのひとりの背後に圧倒的な存在感を見せつけていた。

首を絞めつけられていたふたりの内、ひとりの忍びが急に動かなくなったのを、秘かに目撃した木ノ葉丸もまた、現在命の危機に瀕していた。
背後で自分を助けようとしたエビス先生を庇いつつも、強敵を前にした恐怖で足が動かない。

「波風ナルはこの里にいるのか、いないのか。どちらだ?」

先ほど倒れた忍び達へ投げた質問を同じ問いを投げかけてくるペインのひとりに、首を絞められながらも木ノ葉丸は抗う。
波風ナルは木ノ葉丸にとって、尊敬する姉のような大好きな存在。

だから彼女の居場所を知っていたとしても、こんな敵にむざむざ教えるつもりなど毛頭なかった。
たとえ、先ほど倒れた忍びと同じ末路を辿ろうとも。


「知らな…」
「──よくがんばった」


刹那、木ノ葉丸は、自分をガッチリと拘束していた敵の魔の手から逃れていた。


誰かが己を抱えている。
ゆっくり地面に下ろされながら、木ノ葉丸は自分を助けてくれた相手を見上げた。

綺麗な顔立ちの男だ。長い髪で片目を隠しており、水色の着物の上に白い羽織を羽織っている。
しかしながらその純白の衣の裏地の黒には、紅の雲が浮かんでいた。


「あとは任せろ」

煙管から次々と宙へ浮かぶシャボン玉。
数多のシャボン玉全てに、綺麗な顔立ちの男性の横顔が映る。
その切れ長の瞳が、今し方木ノ葉丸を拘束していたペインのひとりをジロリと流し見ていた。


「今まで質問してきたこと全て、水泡に帰してやろう」

煙管から再びシャボン玉を吹きながら、六尾の人柱力であるウタカタは淡々と宣言してみせた。



「さて、では──」


























「はいはーい、そこまで」
「派手に暴れて注意を引く陽動と、陰で捜索する探索の二手に分かれたか」

刹那、カカシを襲い来るペインの攻撃
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