七十八 雨垂れ石を穿つ
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たな」
不意に自分へ意識を移行され、大蛇丸の身体が緊張で強張った。
怪訝な顔をする自来也の隣で、大蛇丸はカラカラに乾いた喉を鳴らす。
すっかり乾ききった唇を蛇のような舌で湿らせてから、ようやく同意を返した。
「……ええ、そうね。あの時は助かったわ」
あの時。
それは“木ノ葉崩し”のあの命の危機に他ならない。
三代目火影であり、己の師である猿飛ヒルゼンと対峙し、もう少しで里長の命を刈り取れた最高潮の場面。けれど、ヒルゼンの自爆技とも言える術で、大蛇丸もまた、命を刈り取られる一歩手前まできていた。
そう、その名の通り、死神によって。
【屍鬼封尽】。術の効力と引き換えに己の魂を死神に引き渡す、命を代償とする封印術。
この術によって現れた死神の姿を、大蛇丸は今でもまざまざと脳裏に思い描ける。
それほど怖ろしい存在だった。
底無しの昏い瞳をぎょろりと動かし、白い髪を乱れさせ、鬼の形相でにたりと笑う。
そんな異形の死神を、されど、瞬く間に一蹴した存在こそが、目の前のナルトだ。
あの時、ヒルゼンと無理心中されかけていた己を救った恩人へ感謝の意と共に、「借りは必ず返すわ…」と大蛇丸は口にした。
それは紛れもない、事実である。
けれど何故、今、その話題を出してきたのか。
強張った表情で固唾を呑む。
直後、思いもよらぬ言葉に、大蛇丸は驚いてナルトを見返した。
「その借りを、今ここで返してもらおう」
急に戦場と化した木ノ葉の里。
あれだけ長閑で穏やかだった美しい里は今や見る影もない。
いきなり出現した侵入者により、交戦真っ只中になった現状をどう打破するか。
露わにさせた『写輪眼』と同じく、はたけカカシは思考を目まぐるしく回転させていた。
「コピー忍者のはたけカカシ…会えて光栄だ」
「そりゃどうも」
自分の通り名を知っている敵に対し、飄々と笑って返す。
もっとも、常に隠している写輪眼を最初から全開にしていることから、カカシの真剣さが窺えた。
「直接、木ノ葉に乗り込んでくるとはな…目的はなんだ?」
「ま、聞かなくても予想はつくけど」と肩を竦めるカカシを冷めた眼で見ながら「なら聞くな」とペインは冷たく言い捨てた。
「九尾は何処だ」
「愚問だな」
あっさり一蹴したカカシを物理的に弾き飛ばす。
“雷切”を放つ呼び動作も間に合わず技と一緒に弾かれたカカシの身体は、周囲の建物を巻き込んで吹き飛ばされてゆく。
遠くの建物内で、自来也がフカサク蛙に託した暗号を解いていたシカマルが里の異常さに気づいたことからも、その衝撃波の大きさが並みのも
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