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狂乱の宴
第四章

[8]前話
 グラシャラボラスはジョッキに並々と注がれているビールを飲んだ、そうして重臣達との会議の場で正式に決めてだ。
 魔界の名士質を集めた宴はビアホールにした、この宴は居並ぶ魔王達からも他の名士達からもすこぶる好評であった。
 それでだ、グラシャラボラスは気をよくしたがここでも彼は人間達が言う魔界の宴のことを聞いて苦い顔で言った。
「ビアホールを開いたなぞだ」
「人間達は想像もしないですね」
「グラシャラボラス様が色々考えられたうえでそれにされたと」
「そうしたことはです」
「考えもしていない様ですね」
「生贄を捧げその肉を喰らい」
 重臣達にコーヒーを飲みつつ話した。
「奇怪な歌と踊りを楽しみだ」
「性で乱れに乱れた振る舞いを行う」
「魔界ではそうした宴を開いている」
「魔王の方々が常に」
「そんな筈があるか、何度も言うが我等も生贄は欲しておらず」
 そしてというのだ。
「普通に人が口にするものを飲食し」
「真面目に音楽や芝居を楽しみます」
「健全な舞踏を」
「そうします」
「少なくとも公のものではな、生贄は兎も角妖しい宴はだ」
 性的に乱れたものをこう言った。
「人間達も時折行っている」
「左様ですね」
「魔界も行いますが」
「人間達も内密に」
「我々も同じだ、我々も秩序や法を持っているのだ」
 魔界の悪魔達もというのだ。
「そこを勘違いされるとな」
「困りますね」
「全く以て」
「それは」
「天界に秩序があるなら魔界にも秩序がある」
 しかと、とだ。こう言うのだった。
「そして法もな」
「左様ですね」
「それを知って欲しいですね」
「人間達には」
「契約も守るしな」
 これは絶対にというのだった。
「そのうえでは騙しもしない、だから宴もだ」
「公のものは健全です」
「紳士的に楽しみます」
「そうします」
「腐敗も堕落もなくな」
 そうしてというのだ。
「楽しむ、そのことを知って欲しいものだ」
「全くですね」
「魔界の宴は狂乱の宴ばかりというのは」
「とんだ誤解です」
「偏見です」
「そしてどんなものにするかいつも考えているとな、ではコーヒーを飲んだら仕事に入ろう」
 魔王としてのそれにとだ、こう言ってだった。
 グラシャラボラスはコーヒーを飲んだ、そして自分の領土の政治についての決裁の書類にサインしていった。そのうえで。
 シトリーが開く宴に参加するかどうかという話に頷いた、その宴は紅茶を主としたティーパーティーだった。彼はその宴で紅茶に菓子と人間の世界のイギリス風の音楽を楽しんだがそれは後の話である。


狂乱の宴   完


                  2023・9・13
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