第二章
[8]前話
「あのスタイルでCMいいな」
「舞台もいけるんじゃないか?」
「今度のドラマに出てもらうか」
「計画中の映画の悪女もいいか」
こう話しているのが聞こえた、暫く後で仕事の依頼が次々に来た。これまで清純派のものばかりだったのが色気があるものや悪女のものがだ。
私は依頼を受けられるだけ受けた、そうして清純派の役だけでなく妖艶な役も出来ると評判になって仕事にさらに困らなくなった。それでデザイナーの人に話した。
「考えていたの、清純派ばかりだとね」
「女優として伸び悩んで、ですね」
「そしてお仕事も限られてくるってね」
その様にだ。
「考えてよ」
「それで、ですね」
「あの時ね」
「赤地に黒薔薇をあしらった」
「カルメンみたいな」
まさにそうしただ。
「刺激的なものにしたのよ」
「そういうことですね」
「そしてね」
私はさらに話した。
「それが成功してね」
「何よりですね」
「本当にね、ではこれからはね」
「清純派の役と妖艶な役で」
「その両方でね」
「やっていきますね」
「演技や役柄の幅を広めたら」
そうしたらだ。
「その分よ」
「女優としていいですね」
「そう、あのドレスにかなりの時間とお金がかかったけれど」
自分で考えてデザインしてしかも特注だ、本当にどちらもかかった。
「けれどね」
「それでもですね」
「おつりか返って来る位よ、だからあのドレスはまたね」
「着られますね」
「そうするわ」
デザイナーの人に微笑んで話した。
「ここぞという時に。あとね」
「あと?」
「今度は清純派のね」
そちらのだ。
「ドレスを考えているの」
「そちらですか」
「それで今度は白地にね」
ドレスの生地の色はだ。
「青薔薇をあしらおうかしら」
「青薔薇ですか」
「ええ、今度はね」
「いいですね、ではデザインをされたら」
「また見てくれるかしら」
「そうさせてもらいます」
デザイナーの人は笑顔で応えてくれた、そうしてだった。
今度はそちらのドレスのデザインをした、妖艶の次は清純黒薔薇の次は青薔薇だった。私は女優として薔薇を選んでいった。それがまた楽しくもあった。
黒薔薇 完
2023・5・31
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