第二章
[8]前話
この話をインターネットで読んだことをだ、今スリランカのバティカロア地方でやはり農夫をしていたピータンバラム=ラジャン五十六歳で急死した彼の葬儀に参列している中で思い出してそのうえで周りに話した。
「こうした話がありまして」
「同じですね」
「今と」
「そうですね」
ラジャンの棺の傍にいるハヌマーン=ラングールの雌かつてラジャンがシータと名付けて可愛がっていた彼女を見てだ、それで周りに話したのだ。
「こうして見ますと」
「穏当にそうですね」
「ああしてラジャンさんにお顔を寄せてキスするみたいにして」
「凄く悲しそうにして」
「涙さえ流して」
「キィ・・・・・・」
見れば彼女もそうしていた、項垂れとても悲しそうである。
その彼女を見てだ、参列者達は言うのだった。
「猿も愛情を持つ」
「絆を感じるんですね」
「そして悲しいと思う」
「そうですね」
「それなら」
誰もが思った。
「このままにしてあげましょう」
「この争議の間一緒にいてもらいましょう」
「そしてお別れをしてもらいましょう」
彼等はシータが一緒にいることをよしとした、そしてだった。
シータはラジャンの葬儀の間ずっと彼の棺の傍にいた、そのうえで。
葬儀が終わると暫く項垂れたままでやがて森に帰って行った、それから彼がいた畑に毎日繰る様になったそれを見て誰もが猿も愛情を持つと頷いたのだった。
猿の涙 完
2023・11・29
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