第四話 吸血鬼の話その九
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「おかしいなあ。すぐにおられるってわかる方なのに」
「どうして今に限っておられないんだ?」
「また急に姿を消されて」
「よくこういうことがあるにしても」
「そうだよな。ちょっとな」
「今は特に」
「まあここにはおられるんだよね」
ここで言ったのは吸血鬼だった。同胞達に言ったのである。
「それはそうだよね」
「うん、それは間違いないよ」
「私達実際に御会いしたし」
「だからね」
「おられるのは間違いないから」
それは確かだというのだ。だがそれでもだった。
その彼は見つからずだ。彼等は途方に暮れることになった。
しかしここでだ。にゃんぱいあが言うのだった。
「まあ言っても仕方ないにゃ」
「仕方ない?」
「仕方ないっていうと」
「待つのが一番だにゃ」
あっけらかんとしてだ。こう言ったのである。
「その人を」
「いや、何時出て来られるかというと」
「それがわからないからね」
「急に消えられて急に出てこられる方だから」
「どうも」
吸血鬼達がこう言うとだった。ふとだ。
五代があることを思い出してだ。こう一条に囁いた。
「そうしたところは同じですね」
「そうだな。変わらないな」
「スサノオですね。やはり」
五代も一条もだ。彼のことはよくわかっているからこそだ。
それでだ。頷き合って話すのだった。
「そうして様子を見ているんですね」
「俺達のな」
「ということは」
それならばとだ。五代は言っていってだった。
そうしてだ。一つの答えが出たのだった。
「スサノオは出て来るな」
「間も無く」
「何かわかっておられる感じですね」
吸血鬼がその二人に対して述べた。彼等を見てだ。
「マスターのことも」
「まあ。そのマスターが俺達が思っている相手ならね」
「その行動はわかっているから」
二人はこのことを仮定して話していた。
しかしだ。それでもだった。
あらためて考えながらだ。述べたのだった。
「じゃあ。今はにゃんぱいあ君の言う通り」
「じっくり待つとするか」
「そうにゃ。とりあえず何か食べるにゃ」
にゃんぱいあの考えはもうそこに至っていた。
「とりあえず赤いものを食べたいにゃ」
「ああ、苺があるよ」
吸血鬼がだ。その彼に話す。
「それでいいかな」
「苺大好きにゃ」
満面の笑顔でだ。にゃんぱいあは吸血鬼の言葉に応えた。両方の前足も万歳の形になっている。身体全体で喜びを表わしている。
そうしてだった。早速だ。
テーブルの上に登ってそうしてだった。苺を食べはじめた。
まさむにゃや茶々丸もそれに続く。五代達もだ。
パーティーの料理、バイキングのメニューをだ。それぞれ楽しみはじめた。その味は。
「美味いですね」
「そうだな」
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