夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第11話
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旧シェードは『正規品』ばかりの精鋭集団だったはずだ。そんな怪物達を、スパルタンシリーズ如きで撃退した陸軍兵士達……か」
11年前の北欧某国で起きたという、旧シェードと陸軍の武力衝突「エンデバーランド事変」。その激戦の中で散って行ったマルコシアン隊の兵士達は、劣悪な性能のスパルタンシリーズで、旧シェードの怪人達に立ち向かっていたのだという。
愛する故郷のため、人類の未来のため、決して勝ち目のない戦場に飛び込んで行った彼らが、もし今も健在だったなら。この時代の仮面ライダーとして、再び立ち上がる未来もあり得たのかも知れない。
「……会えるものなら、私も会ってみたかったよ。さぞかし面白い戦闘データが取れただろうに」
しかし、どれほど科学が進歩しようとも時は巻き戻せないし死者は蘇らない。ならば、こんな仮定の話にも意味は無いのだろう。スパルタンシリーズに対しては冷淡だった光だが、その鎧を着ていた当時のマルコシアン隊に対しては思うところがあったのか――今度はどこか名残惜しげに、モニターに背を向けていた。
「死ねば会えるのでは? あぁ、貴女では死んでも会えませんね。人類のため命を賭した彼らなら、今頃は天国に居るのかも知れませんが……貴女は間違いなく地獄行きなので」
「……君の言葉は常に辛辣だねぇ」
相変わらず容赦のない部下の言葉に眉を顰めながら、光は次の研究に向けて動き出して行く。他のジャスティアドライバーを任せる適合者候補も、これから見付けて行かなければならない。
「まぁいい、済んだ話は終わりにして『次』の仕事に取り掛かろうじゃないか。時間は有限なんだからねぇ」
「自分で振っておいてそれですか、全く……」
失われたものにいつまでも囚われていられるほど、彼女達は「暇」ではないのだから――。
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