第二章
[8]前話
「困るわね」
「ええ」
佑衣子はまさにと返した、二人共ラフなスラックスとシャツの上着で露出は少ないがスタイルの良さは出ている。
「それがね」
「どうしたものか」
「これが阪大だとね」
大阪大学ならというのだ。
「間違えられないけれど」
「あそこはね」
「また別格だから」
「国立だし」
「しかも七帝大だしね」
それでというのだ。
「私達も入られなかったしね」
「どっちも受験したけれど落ちたし」
「だからね」
「このまま間違えられるのかしら」
「卒業してからもね」
「それは嫌よね」
姉妹でこんな話をした、結局二人共在学中はいつも間違えられそれは就職して結婚してからもでそれぞれの夫と彼等の家族それに親戚からもだったが。
二つの大学が統合されてだ、姉妹は話した。
「一緒になってね」
「府立大も市立大もそうなったけれど」
「それはそれでね」
「寂しいわね」
「一緒にならなかったよかったのに」
「そうよね」
卒業生として話すのだった。
「そのままでよかったのに」
「府立大好きだったわ」
「私も。市立大がね」
「統合とか合併とか」
「しなくていいのに」
「間違えられた方がましかもね」
「それぞれの大学がなくなるよりはね」
こう話すのだった。
そしてだ、佑衣子は美加子の話した。
「間違えられて嫌に思うのって」
「学校に愛着あるからよね」
「若し愛着ないとね」
「間違えられてもね」
姉も言った。
「別にね」
「何とも思わないわね」
「そうよね」
「だから私達嫌に思ったのね」
「通ってる大学間違えられると」
「そういうことだったのね」
姉妹で話した、そしてだった。
二人で思い出を語り合った、それぞれの大学のそれを。それは二人にとって決して悪いものではなかった。
同じ公立大学でも 完
2023・11・24
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