第二章
[8]前話
「そういえば」
「気になるわね」
「言われてみればな」
カップルでこんな話をした、暫くこのことは二人の間で疑問となった。だがある日の休日のことだった。
二人で街をデートしているとだ、ふと喧嘩しているカップルを見た。
「あんたまた浮気したのね!」
「い、いやそれは」
「今度浮気したら許さないって言ったでしょ!」
奇麗な大人の女性、波立つ茶色の長い髪の毛の人が如何にも軽そうな男に怒鳴っていた。凄まじい剣幕だった。
「それで浮気するなんて!」
「誤解だよ、誤解」
「誤解の筈ないでしょ!家に連れ込んだらしいじゃない!」
「あれは姉ちゃんで」
「あんた一人っ子でしょ!」
兎に角怒っていた、そして。
その彼女を二人は見たが。
「あっ、そうか」
「そういうことね」
二人はその人を見てわかったのだった。
「どうしてメデューサの髪の毛が蛇か」
「そういうことか」
「女の人って物凄く怒るとね」
「角が出るっていうけれどな」
「角だけじゃなくて」
「髪の毛も動くんだな」
見れば実際に動いていた、その動きはというと。
「蛇みたいにな」
「そうなるのね」
「特に長いと目立つな」
「奇麗なものだと尚更ね」
「そういうことか」
「だからメデューサって髪の毛蛇だったのね」
早乙女は同性のことだけにしみじみとして述べた。
「激怒したら動くから」
「それでか」
「ギリシア神話ってそこまで表現したのね」
「成程な」
「いや、いい勉強になったら」
「本当にな」
「地獄に送ってやるわ!」
その女性はまさにだった。
角を生やし髪の毛を蛇にさせてだった。
相手に襲い掛かった、襲い掛かられた男は石化したかの如く動かず。
一方的に叩きのめされた、二人はその男が動かなくなったのを見てもわかった。メデューサはまさに女性そのものだと。そして男がぼろ雑巾になったのを引きながら見てあらためてデートを再開したのだった。
メデューサが女性である理由 完
2023・11・24
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