第一章
[2]次話
二年間孤独だった羊
その羊を見てだった。
スコットランドで働いているジュリアン=ターナーはカヌーを楽しんだ帰りに家族にどうかという顔で話した。初老の白髪頭で体格のいい男性である。
「ハイランドでね」
「川沿いの崖の方になのね」
「その羊がいて」
こう妻に話した。
「それでなんだ」
「ずっと一匹でいたのね」
「いや、羊ってね」
夫はさらに話した。
「普通は群れで行動するね」
「ええ」
妻もその通りだと答えた。
「そうしないとね」
「狼とかに襲われるからね」
「そうするわね」
「それがね」
「その羊は一匹だけでいて」
「凄く寂しそうだったよ」
「群れからはぐれたのかしら」
妻はここまで話を聞いて考えて言った。
「まさか」
「そうかもね、それだとね」
妻はさらに言った。
「早くね」
「群れに戻れたらいいわね」
「そうね」
夫婦で話した、この時はそれで終わりだった。
だが二年後ターナーがまたハイランドでカヌーを楽しんでそこに行くとまたあの羊がいた、それもだった。
「まさか」
「ああ、あの子はな」
「二年前もいたな」
「そうだったな」
仲間達もその羊を見て話した。
「一匹で」
「そして今も一匹だな」
「まさか二年もか」
「ずっとあそこにいるのか」
「これはよくない」
ターナーは羊の群れで生活する習性から話した。
「どれだけ辛いか」
「そうだな」
「ここは保護団体に連絡するか」
「そして保護してもらうか」
「そうしようか」
「それがいいな」
ターナーも頷いてだった。
そのうえで実際に保護団体に連絡してみた、だが。
「何でもね」
「その羊がいる場所が険しくて」
「あと怪我とかもしていないから」
ターナーは自宅で妻に難しい顔で話した。
「それでだよ」
「保護してくれないのね」
「どの団体もね」
「そうなのね」
「保護するにも条件が必要だから」
その為にというのだ。
「残念なことにね」
「その子はその条件にあてはまらなくて」
「中々ね」
「保護してもらえないのね」
「それで考えて」
妻に眉を顰めさせて話した。
「ウィルソンさんに情報提供したよ」
「ウィルソンさんっていうと」
「キャミー=ウィルソンさんだよ」
彼にその人だと話した。
「テレビ番組の司会者のね」
「それで羊飼いもしている」
「あの人にね」
「情報提供したのね」
「そうしたらね」
夫はさらに話した。
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