暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第3部
ジパング
新たなる国
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「なあ、ヒミコ様が亡くなったと言うのは本当か!?」
「オロチがこの村にやってきて、あの神の御使い様達が倒してくださったらしいぞ!!」
「いや、ヒミコ様を殺したのはあの旅人たちって聞いたわ!!」
 屋敷の外では、来たときよりも多くの村人が今の状況を知るために集まっていた。どうやら先程飛び出していった侍女があちこちに触れ回ったようで、そのせいか情報が錯綜している。
 村人たちは屋敷から出た私たちに気づくと、一斉に静まり返った。どんな噂であれ、私たちが関係していることは周知のようだ。
 衆目を集める中、一歩前に出て大衆を一瞥したユウリは、声高に話し始めた。
「俺はユウリ。先日ヒミコの神託によりこの国に蔓延るオロチを倒すため、異国よりやってきた者だ」
 そして隣にいる私たち三人に目を向けて、自分と同じ仲間だと言う風に簡単に紹介をした。
「ヒミコ様のご神託……?」
「やはり彼らは、神より遣わされた大いなる存在だったのか!?」
 ヒミコ様の名前を出すことにより、私たちに対する不信感を減らすことには成功したようである。ヒミコ様の神託などというのはもちろん嘘なのだが、ここで正直に話せば変に疑われてしまう恐れもあるので、ボロが出ない程度にでっち上げの設定を急遽考えたのだ。
「お前達が今までヒミコだと思っていたのは実はオロチだったんだ。だが、オロチは昨日俺たちが倒した。だからもうこの国が脅かされることもないし、生け贄も必要ない」
 きっぱりと言い放ったその言葉に、村人たちは再び騒然となる。
「ヒミコ様がオロチ……!?そんな馬鹿な!!」
「でもあたし昨日、あの人たちがオロチを倒したのを見たわ!!」
「もう娘を生け贄に出さなくてもいいのね!!」
「待てよ、じゃあ本物のヒミコ様はどこに……!?」
 様々な疑問や意見が飛び交うが、皆半信半疑と言った様子であった。確かにオロチは倒した。けれど、本当にこの人たちを信用していいのか、そんな迷いが彼らの表情から見て取れた。
 すると、一人の男性が胡乱な目でこちらを睨み付けてきた。
「何が神の使いだ!! もしそれが本当なら、証拠を見せろ!! それとも本当は、お前達がオロチの仲間なんじゃないのか!?」
 その一声に、風向きが一気に変わってしまった。
 周りの人々に動揺の色が広がる。水面の波紋のように、際限なく広がっていくようであった。
「そうよ!! なぜ私たちをお守りしてくれるヒミコ様はいないの!?」
「まさかお前達がヒミコ様を唆したんじゃ……」
「いや、もしかしたら殺したのかも……」
「ヒミコ様をどこへやった!! 我々のヒミコ様を返せ!!」
 次第にその声は怒号となって私たちに襲いかかった。ある者は足下にあった石を投げつけ、ある者は聞くに耐えない罵声を浴びせ続ける。
「……」
 もしかしたら
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ