第三章
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「報酬もね」
「高いんですか」
「それでここに暮らしていて」
タワーマンションの最上階にというのだ。
「家賃もね」
「ご自身で、ですか」
「全部支払っていて」
そしてというのだ。
「貯金もね」
「あるんだ」
「そうなんですか」
「というか毎月家賃ちゃんと払うとか」
兄はこう弟夫婦に言った。
「律儀だね」
「いや、それはさ」
「ちゃんとしないと駄目ですから」
夫婦で答えた。
「それで、です」
「毎月払ってきたしこれからも」
「そうしてくれるんだ、まあ困ったら何でも言ってね」
「そうならない様にするよ」
「というかもっと払わせてもらいます」
「三万でいいよ、家事も手伝ってもらってるしね」
兄は鷹揚な笑顔で応えた、そうしてだった。
弟夫婦と共にタワーマンションで暮らしていった、弟夫婦は兄の仕事ぶりを確かめると何と世界的な翻訳家で。
「こんなところに住んで余裕あるのもな」
「当然ね」
「日本の英語の翻訳界の若き巨匠か」
「そこまでならね」
「いや、翻訳の世界疎かったけれど」
「お義兄さん凄い人だったのね」
夫婦でこのことを知って驚愕したのだった、やがて二人は子供が出来たのを機に自分達の部屋を別の普通のマンションに借りて移住した、そして話すのだった。
「俺達にはな」
「こうしたマンションが合ってるわね」
「居候でもあんなところだとな」
「タワーマンションの最上階なんて」
「兄貴の好意でもな」
「こうしたところがいいわね」
「本当に遠慮しなくていいのに」
兄は今もこう言った。
「息子さんもそのままでね」
「いや、いいから」
「これからはこちらで暮らします」
引っ越しを手伝って祝いに来た兄にこう返した、そして彼とそれぞれの親しい友人達でお祝いのパーティーを楽しんだのだった。
家賃を出しても 完
2023・11・18
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