お掃除してたらいいことあったよ
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彼女のマスターに会いに行きたいな。また改めてさ」
「だな。取りあえず、蒼井とマスターの予定聞いとくぜ。どっかで話せねえか」
コウスケがポチポチとメッセージを送っている一方、可奈美がどんどん掃除を進めていく。
彼女は壁に飾られている額縁を外し、雑巾で拭き始める。すると、額縁から何かが零れ落ちた。
「あれ?」
一度額縁を元に戻し、落ちた物を拾い上げる可奈美。
「何だろ? これ」
「どうしたの?」
「こんなところに何か入っていたんだけど」
可奈美はそれを広げた。
古びた四つ折り紙。右下には地図らしきものが残りの三面には、それぞれ別々の記号が記されている。
覗き込むココアも、可奈美と同様疑問符を浮かべていた。
「地図と……これは、お店のマーク?」
「ラビットハウスと……あ、これって紗夜さんが働いているお店」
マークに検討を付けた可奈美。ココアが「きっと甘兎庵だね」と補足し、改めて紙を分析する。
直線による図形が無数に記入されており、見滝原___特に、この木組みの街地区の地図にも見える。
「ちょいっとオレも拝見……コイツは……シストの地図だな」
コウスケが覗き込みながら言った。
「シスト?」
「地図に宝物があるだろ? ほら、ここ」
コウスケはそう言って、地図の一点を指差す。
「この地図を作った奴が、ここにあらかじめ宝物を置いておくんだ。んで、地図を持った奴が宝物の中身を自分のものと交換して、また地図をどこかに隠す。まあ、木組みの街じゃたまにある文化だって有名だぜ? ま、宝探しだな」
「お前はやったことあるのか?」
「昔ダチん家行った時にな」
コウスケは懐かしむように頭の後ろで手を組む。
「実家は見滝原じゃねえけど、ダチがこっちに住んでたからな。ちょくちょく遊びに来てたぜ」
「チノちゃんはやったことあるのかな?」
「ありますよ」
チノが、そう言いながらホールへ降りてくる。
私服に着替えた彼女は、可奈美が手にする地図を見下ろす。
「懐かしいですね。街にいくつ地図が隠されているんでしょう?」
「そんなに沢山あるのか……」
「ま、そりゃそうだろ」
コウスケが苦笑する。
「木組みの街だと、恒例行事みてえなもんなんだろ? 昔から喫茶店を営んでいるんだ。やってねえ方が驚きだぜ」
「この街では、みんなやったことあるんだ……私も、やってみたい」
ココアが泣きだしそうな顔で呟いた。
「へえ、いいじゃん。可奈美ちゃんも行ってきなよ」
ハルトはそう言って、可奈美が手にしている雑巾を取り上げる。
「後は俺がやっておくから」
「ダメ! ハルトさんもやろうよ!」
「え? いや、俺もう大人だし……」
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