お掃除してたらいいことあったよ
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る彼は、どうやら異世界から異世界を渡り歩いているようで、すでにこの世界にはもう存在しない。
「さあな? ま、アイツなら元気にやってんだろ」
コウスケはそう言いながら手を伸ばす。
「アイツ、オレが知ってる範囲では最強の参加者だったんじゃねえか?」
「そうだな……」
コウスケの言葉に、ハルトは思わずこれまで出会ってきた中で、最強クラスの聖杯戦争参加者を思い浮かべる。
まず真っ先に思い浮かんだのは、キャスター。
出会ってからかなりの時間が経つのに、未だにその名を明かしていない。
広範囲へ黒い魔法で攻撃するのと、対峙した敵の能力をコピーできる彼女が敗北する姿を、ハルトは一度として目撃していない。
次に、トレギア。
フェイカーのサーヴァントであり、ハルトと最も長い期間敵対し続けていた相手である。人の弱みを利用して、幾度となくハルトたちを追い詰めてきた。
最後に、邪神イリス。
ムーンキャンサーのサーヴァントであり、見滝原中央駅を押しつぶし、文字通り火の海に変えた怪物。可奈美たちがキャスターと手を組んだ上でも、まだ決定打にならないほどの強敵。
もし、士が彼らと戦うことになったとしても、いい勝負になりそうなイメージがある。
「そうだね。もしまた士さんに会えたら、私もお礼言いたいかも」
そう言いながら座席の雑巾がけを続ける可奈美。
だが、ハルトは見逃していない。そう言う可奈美の目は、ギラギラとした戦いを欲している目だと。
「……可奈美ちゃん、士に負けたんだっけ?」
「うん! でも、士さん本当に凄かったんだよ! もう色んな姿に変身して、その度に剣術が変わっていくのが本当にすごくて! 私の時はなんか迅位のスピードに追い付いてこれたし、もう___」
「ああ、分かってる分かってるよ!」
剣について語り出したら止まらない。
それが、衛藤可奈美という少女の個性である。キッチンでコウスケと顔を合わせても、彼女の剣術語りは止まらない。
「で、酒の話は冗談として。お前はどうなんだよ、あれから」
コウスケの問いに、ハルトは肩を窄めた。
「どうって……どうもしてないよ」
「ああ、聞き方変えるわ。今でも人間になりてえか? 寂しかったんだろ」
その問いには、ハルトは即答できなかった。
未だに語り続ける可奈美を見つめながら、ハルトは静かに答える。
「今は……そこまででもないな」
ペラペラと話を続ける可奈美。
だが、ハルトは強く記憶している。
あの日、彼女が命懸けでハルトを孤独から救い出してくれたことを。
「そっか。なら、よかった」
それ以上は野暮だと自分で判断したのだろうか。
コウスケはそれ以上言及することなく、ほほ笑みながらコー
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