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幸せになったハイエナ
第一章

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               幸せになったハイエナ
 マラウイ共和国の首都にリロングウェ野生動物センターという場所がある、生きものを保護する施設だが。
 イガモ=キシャサこのセンターのスタッフの一人で若く背が高く痩せて髪の毛を短くしている彼は雄のハイエナの赤子を見て言った。
「名前は付けましたが」
「ニェニェジとだね」
「これからどうなるか」
「生まれたばかりだね」
 施設の背パイがキシャサに応えた。
「だから」
「一から全部です」
「育てないといけないね」
「それは出来ますが孤独です」
 ニェニェジ、彼はというのだ。
「そのことがです」
「問題だね」
「この子にとっては一番のそれです」
「それをどうするか」
「考えていきます」
 そのニェニェジ、生まれたばかりのハイエナの赤子を見て言った。
 キシャサはニェニェジに哺乳瓶でミルクを与え世話をして育てていった、幸い健康であったがやはり孤独で。
 彼は先輩にだ、こう言った。
「違法販売業者から保護された犬がいまして」
「その犬をだね」
「生後十ヶ月でして」
「どの子かな」
「この子です」
 その犬を見せた、それは黒と茶色で耳が立っている雄犬だった。
「ウェズリーといいます、この子をニェニェジと一緒にいさせて」
「色々教えるんだね」
「犬は面倒見がいいですから」
 そうした習性があるからだというのだ。
「ここはです」
「その子に頑張ってもらうんだね」
「そうします」
 こう言ってだった。
 実際にウェズリーをニェニェジの家族にした、すると。
「ワンワン」
「ガウガウ」
 二匹はすぐに仲よくなってだった。
「君の読み通りだな」
「はい、この通りです」
 キシャサは先輩に笑顔で話した。
「すぐに仲よくなりまして」
「そしてだな」
「一緒に遊んで寝て」
「共に暮らす中で」
「ウェズリーはニェニェジに何かとです」
「教えているんだな」
「犬は上下関係の中で生きて」
 そうしてというのだ。
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