第一章
[2]次話
虎の出産
オーストラリアのある動物園のことである。
その動物園の飼育員であるフランク=ダーランド四角い顔で小さな黒い目と茶色いセットいた髪を持つ長身の彼は難しい顔で獣医に尋ねていた。
「かなりですか」
「はい、難産ですね」
獣医は目の前の雌の虎ケイトリンを見て答えた。
「それもかなり」
「だからですか」
「母親も子供もです」
どちらもというのだ。
「心配です」
「そうですか」
「ですが何とか」
獣医は真剣な声で言った。
「どちらも無事でいる様にです」
「してくれますか」
「はい」
そうだというのだ。
「全力を尽くします」
「宜しくお願いします、僕もです」
ダーランドもこう言った。
「飼育員として」
「全力で、ですね」
「出来ることをやらせてもらいます」
「それでは」
こう話してそうしてだった。
ダーランドは獣医と共にケイトリンの世話をした、ケイトリンは非常に苦しんだがまずはであった。
一匹の虎を生んだ、だが。
「ミュ〜〜・・・・・・」
「この子は」
「かなり弱ってます」
獣医は膜に覆われた虎を見て答えた。
「ですから」
「すぐにですね」
「こちらで助けましょう」
こう言って動こうとした、だが。
「あっ」
「ガウ」
ケイトリン、母である彼女がだ。
口で膜を取って全身を優しく舐めた、するとだった。
「よかった、元気になりましたね」
「そうですね」
ダーランドも獣医もほっとした。
「これで」
「そうですね」
「そしてです」
獣医はケイトリンを見て言った。
「もう一匹です」
「生みますね」
「今から」
こう言っている傍からだった。
ケイトリンはもう一匹生んだ、その子もだった。
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