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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第2章】StrikerSの補完、および、後日譚。
【第3節】ゆりかご事件におけるクロノ提督の動向。
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でした。
 向かって右から、ミゼット・クローベル統幕議長(96歳)、ラルゴ・キール名誉元帥(92歳)、レオーネ・フィルス法務顧問(94歳)。俗に「伝説の三提督」とも呼ばれる、〈三元老〉の御三方(おさんかた)です。
「ミ、ミゼット・クローベル! どうして……。(絶句)」
 イストラ(65歳)の口から愕然とした声が漏れ落ちました。すると、それをたしなめるかのような(あるいは、何かを面白がっているかのような)口調で、レオーネが初めて口を開きます。
「イストラよ。目上の者の名前を呼ぶ時には、敬称を忘れてはいかんぞ。かつての直接の上司であれば、なおさらのことだろう」
 そう言う自分の側は、あからさまな呼び捨てでした。哀れにも、イストラの顔は見る見る青ざめて行きます。

 そこで、ラルゴ・キールは不意に立ち上がり、朗々たる口調でこう述べました。
「時空管理局に所属するすべての者たちよ、聞くが良い! 我等は管理局の最高責任者たる〈三元老〉である。我等は協議の結果、残念ながら『現在の管理局〈上層部〉は、正常な判断能力を喪失している』との結論に到達した。したがって、我等はここに〈元老大権〉の発動を宣言する!」
〈本局〉全体に、どよめきが走ります。
『元老に、そういう権限がある』ということ自体は、誰もが「知識としては」知っていましたが、まさか、本当にそれが使われることがあり得るなどとは、誰一人として本気で考えてはいませんでした。
 それと言うのも……かつて〈管理局の創設者たち〉が初めて〈元老〉という役職を設けてから、今年でおよそ百年になりますが……その大権はこれまで、統合戦争や三年戦争の時にすら、実際に使われたことなど一度も無かったからです。

 ラルゴは続けて語りました。
「すなわち、『非常事態宣言』である。本日(ほんじつ)只今(ただいま)をもって、管理局〈上層部〉の権限はすべて停止し、代わって我等三名が直接に管理局全体を指揮するものとする。異論は認めない!」
「そ、そんなことがっ!」
 おそらく、イストラは『許されるとでも思っているのか?!』などと続けたかったのでしょう。しかし、レオーネは彼に皆まで言わせず、にこやかにこう切り返しました。
「イストラよ。我々は『君たちの敬愛するオルランド・マドリガル議長』がみずから制定した法令に基づいて行動しておるのだ。君も何かを言い返したいのであれば、まず〈元老大権〉に抗弁(こうべん)する法的根拠を示せ」
 そんな法的根拠はどこにも存在しない、と解った上で言っているのです。

 しかも、〈三脳髄〉の存在を知るイストラの耳には、レオーネの口調は『我々はもう三脳髄など怖くはない』と言っているように聞こえました。
(何故だ? 一体どうして?)
 イストラの表情が、誰の眼にも明らかなほどに打ちひしがれる
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