プロローグ
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太平洋に浮かぶ小さな島。
この島にある一家が住んでいた。その一家の名前は―――。
―――ゾルディック家。
世界に存在する裏の人間、組織からは伝説の暗殺一家と称されており、彼らに狙われたが最後、一国の大統領ですら死は確実と言われる程だ。
そのゾルディック家に、一人の天才児がいた。
少年の名前はクルト=ゾルディック。ゾルディック家始まって以来の天才と呼ばれている少年で、ゾルディック家の三男である。
そんなクルトは今、父親であるシルバ=ゾルディックに呼び出されていた。歪で、不気味な印象を与える部屋。近くには巨大な犬、もしくはオオカミか、もしくは狐か、とにかく巨大な生き物が寝ている。
そんな部屋にある大きなソファー。そこにジルバは座っていた。
「親父、何か用か?」
クルトはシルバにそう言う。
クルトの髪は、シルバと同じ銀色だ。
「クル、お前は外に出たがっていたな」
「ん?ああ、確かにそう言ったっけか。でも一年以上も前の事だろ?」
「ふ、大切な息子の言葉だ。覚えていて当然だ」
そう言いながらもシルバの表情は一切の変化が起きない。
―――殺しのプロフェッショナル。
その言葉をクルトは否応なく認識させられる。
「…それで?外に出させてくれるのか?」
その言葉は適当に吐きだしたものだった。
クルトは今までこの家から仕事以外で一度も出た事は無かったし、大概の物は、頼めば家の執事達が調達してくれる。
だから今までクルトは暗殺技術を極める事のみに力を注いでいた。そしてそれはこれからも続くと思っていた。
「ああそうだ」
しかし、返ってきた言葉はクルトの予想を超えるものだった。
「え・・・、本当に、外に出てもいいのか?」
間抜けな声を出してるとクルトは自分でも分かっている。しかし、今のクルトを支配しているのは戸惑いと喜びだ。
「今のお前に必要なのは経験だ。それを外の世界で学んで来い」
「親父ありがとう!!」
クルトは、そう言うと、即座に踵を返し、その場から出て行った。
* * *
「何故クルを行かせたの!?クルにとって今が一番大事な時期なのよ!!」
クルトが出て行った後、ヒステリック気味にそうがなり立てるのは、クルトを含めたゾルディック家の六兄妹の母親であるキキョウ=ゾルディック。
その言葉に対し、シルバは一言。
「わかってるならつべこべ言わず黙ってろ」
そう言い捨てる。
その顔には、先程の無表情とは違い、見る者を震え上がらせる酷薄な笑みを浮かべる。それはまさに、最強の暗殺一家、ゾルディック一家の当主の凄まじさを表していた。
「あいつは必ずゾルディック家にとっ
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