第十九話 少年期A
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さすがに全年齢対象の内容を聞かせたけど。話のネタがなくなったから、つい話しちゃったんだよなー。
うん、完全に原因俺か。小動物みたいにぷるぷるしてる。
『ますたーはもうちょっと自重しましょうよ。アリシア様も大丈夫ですよ。毛布、マイスターにかけてあげるのでしょう』
「うー、うん」
「かけるって、あぁなるほど」
妹がまた顔を出してうなずく。俺も周囲を見回して、ようやくアリシアの行動に合点がいった。それから毛布の後ろ側を俺も手に持ち、アリシアと一緒に毛布を運ぶ手伝いをする。前方の方はコーラルとリニスが先導してくれた。
転移を使って持っていくのが一番手っ取り早いのだろうが、それはやめておいた。アリシアが頑張って毛布をここまで持ってきたんだし、最後までやらせてあげるべきだろう。
俺たちはソファに身体を沈めている母さんのもとへと向かい、そっと毛布を広げた。いつもならそろそろ晩御飯の支度をしなくてはいけない時間なのだが、俺たちは母さんを起こそうとする気にはならなかった。今日は久しぶりに出前でもいい気がするな。
「冷蔵庫の中も日持ちしそうなものばっかりだし大丈夫かな。よしアリシア、デリバリーで探してみるか」
「それじゃあ、久しぶりにここにしようよ」
「お、これか。シーフードデリならすぐ届けてくれるしな」
『それでは、2時間ぐらいしたら起こしてあげましょうか』
「なぁう」
アリシアと端末の画面を見ながら、今日の晩御飯について話し合った。できればある程度消化にいいものを選んでおいて、母さんが起きたらみんなでメニューを改めて見合うことにする。一応ここも届いた品物はチェックされるが、出前はOKなんだし問題はないだろう。
リニスも魚介類系のサイドメニューがあるためご機嫌そうだ。母さんは起きたらびっくりするかもしれないな。でも疲れているときぐらい、楽をしたっていいじゃん。困ったように「仕方がないわね」って微笑む母さんがすぐに想像できて、アリシアと一緒にくすりと笑ってしまった。
「お疲れ様、母さん」
「お疲れ様」
ゆっくりと俺たちの時間は、世界は回っていく。だけど、こんな風にいられる時間を俺はずっと大切にしていきたい。変わるものも、変わらないものもずっと。
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