第十九話 少年期A
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んだな。母さんは紫色だけど、家族全員青系統だったみたいだ。うーん、それにしても藍色って原作に誰かいただろうか。
『というか地味に、ようやく杖の状態になれたのが僕はうれしい』
「……そういえば、杖にしたのって何年ぶりだったっけ」
『どうせ僕の稼働シーンなんて需要ないですからいいですよ。一人で感動を噛みしめておきますから』
……ごめん、なんか。正直、全然気にしてなかった。
******
「今日は楽しかったね」
「そうだな。あー、すっかり遅くなっちまったな。母さんもう帰ってきてるかも」
あれからお姉さんにお礼を言って、解散することになった。お姉さんは家の途中まで見送りをしてくれて、そこでお別れをした。さすがに1ヵ月間も過ごした施設の中で今更迷うこともない。寄り道せずに帰ることを約束したので、こうしてまっすぐに歩いている。
今日を過ごしてみて思ったけど、魔法ってかなり奥が深い。実際に自分が魔法を使う立場になってくると本当にそう思う。魔法の1つ1つに積み重ねられてきた重さ。威力や範囲の決定に簡略化などの構成。そして、どれだけ安全に配慮されているのかもわかった気がする。
『2人にね、これだけは覚えておいてほしいの。魔法を使うときのこと』
非殺傷設定の魔法についての話になった時、お姉さんが話してくれたこと。俺がこの世界で魔法を使うことに忌避感をあまり感じなかったのは、非殺傷設定というものがあったからだ。戦いの力を持つ魔法だけど、人を殺さないですむ。酷い怪我を負わせることもない。管理局が魔法をクリーンな力だという理由も、納得できる部分はある。
『すごい魔法だよね。だけど、絶対に使い方を間違えちゃだめだよ。この魔法はね、平和のために作られた魔法だから。昔は戦いばっかりして、魔法で傷つけ合うことしかできなかった時代があって。そこから変わろうって、頑張った人たちがいて、一緒に魔法も変わっていったの』
怖くなったわけじゃない。だけど、魔導師になるのならちゃんと魔法の勉強をしようと思った。少なくとも、中途半端な状態で使っていいものじゃない。将来は次元世界をぶらぶらすると決めている。勉強はあんまり好きじゃないけど、できる範囲はやっておかないといけないと思った。
『迷信かもしれないけど、魔法には思いがこもるって言われているわ』
『思い?』
『うん。私はね、思いを込めて、誰かに伝えることができる魔法を使える人が、魔導師って呼ばれるんだと思う。私はそんな魔導師を目指していきたいな』
難しいんだけどね、って照れくさそうに笑ったお姉さん。その込められる思いがどんなものになるのかはわからない。誰かを救う思いになるのかもしれないし、誰かを傷つける思いになるのかもしれない。それでも、思
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