第3部
ジパング
扉の向こうの決戦
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によく似ていた。
「ゆ、ユウリ……、あれって……」
「ああ、あれはヒミコだな。少し雰囲気が違うが……」
いや、そのヒミコ様がなんでオロチの身体から浮かび上がってきたのかが知りたくて聞いたんだけど。
もしかして幽霊では、と一瞬頭をよぎったが、ヒミコ様は死んでるわけではないので、結局正体がなんなのかわからなかった。
けれどその半透明のヒミコ様が天へと昇っていった瞬間、わずかに微笑んだのを、私は見逃さなかった。
そうこうしてる間に、オロチの肉体が徐々に塵となって、消えていくのを確認すると、ようやくオロチを倒したという実感が湧き上がった。
「皆、オロチを倒したよ!!」
シーラが感極まった表情で私たちのもとへと駆け寄る。緊張の糸が切れた私は、近づいてくるシーラと抱きしめあった。
「うわあああん!! 勝った、勝ったよおお!!」
オロチを倒して嬉しいのか、それとも今頃になって恐怖心が戻ってきたのか、ボロボロと涙をこぼす私とシーラ。そんな女二人の様子を、男たちはほっとしながら眺めていた。
「何とか倒せたか……」
呻くようにつぶやくユウリ。そんな彼などお構いなしに、ナギはユウリの背中をポンと叩いた。
「へへ。やっとオレを名前で呼んでくれたな」
ナギの言葉に初めて気が付いたのか、わずかに顔を赤くするユウリ。
「あのときは時間がなくて文字数の短い方を選んだだけだ」
「そんな理由で呼んだのかよ!?」
とまあ、そんなこんなで、ようやく私たちはこの国の災厄ともいわれる魔物である、オロチを倒すことができた。
その様子は当然周りにいた村人たちの知るところとなり、とうとう神の使いから本当の神扱いをされるまでになったのは言うまでもない。
「皆さん、オロチを倒してくださったんですね!!」
騒ぎを聞きつけてきたのか、ヒイラギさんが駆けつけてきてくれた。
「ヒイラギさん、これからはヤヨイさんと二人で堂々と暮らせますよ!!」
私の言葉に、ヒイラギさんは両手を口で覆いながら、その場に崩れ落ちた。
「本当に、本当にありがとうございます……!! なんとお礼を言ったらいいか……」
「とりあえず、先に顔を洗わせて欲しいんだが」
そう言えば、ユウリの顔は化粧とオロチの返り血で汚れたままだった。ヒイラギさんは苦笑しながら、私たちを再び家に迎え入れてくれたのだった。
その日の夕方。村は騒然としていたが、当事者である私たちは喧騒を離れ、ヒイラギさんの家で戦いの疲れを癒していた。
ヒイラギさんの家に戻ると、早速私たちは納屋の方へ向かい、ヤヨイさんと話をした。事の顛末を聞いたヤヨイさんは嬉しさのあまり、目の前にいたユウリに抱きついた。抱きつかれたユウリより、ヤヨイさんの方が慌てふためいていたが、よっぽど嬉しかったんだろう。彼女は照れ
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