第3部
ジパング
扉の向こうの決戦
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静にツッコミを入れるナギ。そのうち屋敷の外の方から、叫び声や悲鳴が聞こえてきた。
「まずいな。あいつ、村人を襲う気だ!!」
果たして、ユウリの危惧は当たっていた。屋敷に出た途端目にした光景は、オロチが今まさに村人に襲い掛かろうとしているところであった。
本体オロチの首が近くにいた村人に迫る。オロチを初めて見た村人たちは狙われている村人など見向きもせず、恐怖で逃げまどっている。またある人は腰が抜けて動けないのか、しゃがみ込んで建物の陰に隠れながらガタガタと身を震わせていた。
「たぶんあいつ、人を喰って体力を回復するつもりだよ!!」
シーラの見解に、私は体中の血液が逆流する感覚を覚えた。無意識に星降る腕輪の力を発揮させると、いの一番にオロチへと向かった。
その間、私は鞄にしまっていた鉄の爪を取り出すと、迷うことなく右手に装備した。使い慣れていない武器ではあるが、一撃必殺の目的であれば今ここで使う方が確実に仕留められる。
「皆、これがあたしの最後の呪文だよ!!」
シーラが叫ぶ。もうシーラのMPは尽きかけている。やるなら今しかない!!
「ピオリム!!」
味方全員の素早さを上げる呪文。再び白い光を纏った私は先頭を走り、次いでユウリとナギが後に続く。
『き……、貴様ら……、まだ……?』
ようやく私たちの存在に気が付いたのか、こちらをゆっくりと振り向く本体オロチ。でも、気づくのが遅い!!
「はああっっ!!」
私は一声吠えると、思い切り地面を蹴ってオロチに向かって猛ダッシュした。鉄の爪が煌めき、オロチの胴体を横一線に薙ぐ。
『ギャアアアアアアァァァァッッッッ!!!!』
裂いた胴体から、勢いよく血が噴き出す。私はオロチの返り血を浴びながら、後ろに退いた。
だが、まだオロチは倒れない!! 鉄の爪を使っても、致命傷を負わせることはできないってこと!?
「ナギ、挟み撃ちだ!!」
「おう!!」
ユウリの呼びかけに、短く応えるナギ。瞬間、二人は横に回り込むと、オロチに向かって同時に跳んだ。
「くたばれええぇぇっ!!」
ナギの放つチェーンクロスが、オロチの首を直撃する。首はあらぬ方に曲がり、悲鳴すら中断させた。
「これで終わりだ!!」
続いてユウリの一閃。渾身の一撃が、オロチの首と胴体を完全に斬り離した。首は放物線を描きながら、地面へと落ちていく。
『ア……、アア……!!』
もはや断末魔と呼べるほどの声も出せず、本体オロチはそのまま地面へと転がった。
「や……、やった……?」
いまだ現実感を得られず、完全にオロチがこと切れるのをただ呆然と立ち尽くしながら眺める。
すると、オロチが息絶えた瞬間、その肉体からぼんやりと、人の姿が現れたように見えた。
半透明なその姿は、昨日見たヒミコ様
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