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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第177話:雪解けの輝き
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余裕が生まれると言う事。
「うわぁぁぁぁっ!?」
「ステファンッ!?」
「ッ!?」
突如透の耳にステファンとソーニャの悲鳴が聞こえてきた。そちらを見ると、カリオストロの相手に全力になっている間に建物に迫ったアルカノイズ達がステファン達に襲い掛かろうとしている所だった。それを見て透は咄嗟に判断に迷った。あそこまで近いと下手にカリヴァイオリンを投げれば2人まで巻き込んでしまう危険がある。かと言ってここでカリオストロに背を向けるのは…………
「隙ありッ!」
「ッ!?」
その逡巡が隙となった。カリオストロは変形したガントレットで透を殴りつけ、近くの街灯に叩き付けた。その衝撃で透の手からカリヴァイオリンが零れ落ちる。
腹を殴られたダメージと背中を叩きつけられた衝撃で一瞬呼吸困難に陥り、その場で大きく咽る透。カリオストロはそんな彼にゆっくりと近付いていった。
「優しいのね? 他人なんて放っておけば、こんな事にもならなかったのに。ま、そう言うの、嫌いじゃないけれども」
足元で蹲る透を見下しながら、彼を馬鹿にしているのか称賛しているのか分からない言葉をカリオストロが口にする。透は苦痛で歪む視界の中、カリオストロを見上げながら同時にステファン達の事も見た。彼らはアルカノイズに囲まれ動けずにいる。今すぐ助けなければならないのに、体の方は思うように動いてくれない。
カリオストロはそんな透の顎に指を這わせ、指先で彼の顎先を持ち上げた。
「うん、アンタなら丁度良さそう。それだけの力があるなら、あの坊やの代わりも務まるでしょう」
何のことを言っているのか分からない透だったが、穏やかな内容でない事は確実だった。このまま好きにさせてなるものかと、透は体に力を入れカリオストロに抵抗しようとした。
その時、遠い彼方から一発の銃弾が飛来し透の前に居たカリオストロの脇腹に直撃した。
「が――――ッ?!」
完全に意識外からの一撃に、カリオストロは一瞬意識が持って行かれそうになる。幸いなことにファウストローブの防御力のお陰で撃ち抜かれると言う事にはならなかったが、それでも不意打ち同然に内臓に受けたダメージは相当なものだったのか、彼女の口の端からは血が零れ落ちる。
「がふッ!? げほッ!? な、何……?」
何が起きたのかと状況を理解しようとする前に、事態は更に大きく動いた。今度はソーニャ達を取り囲もうとしているアルカノイズが、雨霰と降って来た銃弾により次々と粉砕されていったのだ。銃弾は正確にアルカノイズのみを狙って放たれ、ソーニャ達には掠り傷一つ負わせていない。
明らかな先程の狙撃と今の銃弾の嵐。それが出来る者が誰なのか、透には1人しか心当たりが居なかった。
「透ッ!」
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