第一物語・後半-日来独立編-
第十七章 ざわめく空の下
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香丸と呼ばれる玉を潰し火をつけ吸引する。
リラックスが出来たり、気を沈める効果などあり人気の商品だ。
吸引出来るのは十六歳からだが、子ども用に香草の量を減らしたりして子どもでも吸えるようにしている。
気管支炎の治療にも使われるとか、そんなことを本で読んだことがあるのを飛豊は思い出した。
間が空いていることに気づき、内心少し焦りながら口を開く。
「これは日来が世界で唯一のアマテラス系加護の場所だからだな。アマテラス系加護は万象宗譜|《トータルスコア》の唯一の加護だ。その最大の特徴は流魔を生成出来ることだ」
「だから嫌われているのはそこなんだよ。無闇に流魔を生成することは創生区域の崩壊を招くからね。だから奥州四圏は流魔の生成を行えないようにするために、規制を掛けたんだ」
机に腕を置くレヴァーシンクは、こちらに言うように発言した。
「ついでに、それによって日来が反攻しないように武装をさせず貿易や食糧生産を優先させたのさ。そうすれば自分達は日来から安価に食糧を輸入して、軍事に専念出来るからね」
「それってもう前からのことですよね?」
ロロアが問うたので、頷き、
「三十年前のことさ、だけど日来はそれより前に独立出来るようにしていたらいしけど」
「そう言えば社交院の葉木原が日来を終わらせる、とか言っていた」
「それうちも聞いたネ。長のセーランしか話してないみたいヨ」
悩むようにレヴァーシンクは顎に指を付け、考える姿勢を取った。
あちらにもその真意が解らないのだろう。
数秒考え、視線を上げた。
「当たりだけど、終わらせるのは日来。自分達は降服して救われる、て意味じゃないかな?」
「社交院側ならそうだろうと私も思う」
「会議でもちょっとぐらい話題になるかな。こちらはそれには反対だからね、一応有利な発言が出来るよう資料でも集めておくよ」
「頼む」
レヴァーシンクは映画面を出し、慣れた手つきで操作し始める。
それを確認し、彼に向けていた視線を皆に戻す。
「こちらの立場は日来の存続だ。そして住民の意思を聞き、可能ならそれに答えようと思う」
「だが、どうやって日来を存続させる?」
腕を組むアストローゼは、鋭い視線をこちらに向ける。
「日来を下手な方向に向ければ撃沈されるのが目に見えている」
「機動力が高いワイバーン級戦闘艦が十二艦、バランスがいいドラゴン級戦闘艦が三艦あるからな。随分と艦を使ったものだ」
飛豊は窓の向こう。空を移動する艦を目に捕らえる。
艦の背後の加速機からは流魔の青が吐き出され、宙にそれが溢れる。
輝く塵のようなものは、ある程度落ちてから消滅している。
窓に向けた顔を皆に戻し、
「まあ、それ程こちらに構ってくれてることになるんだろうな」
「いい動きをすれば、世界にいい
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