暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第9節】キャラ設定1: ニドルス・ラッカード。(中編)
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法定絶縁制度の話だが……」
「ああ。お前も社会人一年生でいきなり『前科者の弟』と呼ばれたのでは、いろいろとやりづらいだろう? だから、わざわざこちらから『あらかじめ縁を切っておいてやろう』と言ってるのさ。愚弟よ、少しはこの兄に感謝しろよ」

「……解った。僕の側のメリットは、確かにそのとおりだ。しかし、この絶縁は、アンタの側には一体何のメリットがあるんだ?」
 すると、ヴェナドゥスは『やれやれ』と言わんばかりに小さく溜め息をつくと、またあからさまに相手を見下した視線でニドルスを(ねめ)つけました。
「そんなコトも解らねえのかよ。だから、お前なんかに『俺の弟』は務まらねえって言うんだよ」
(そんなの、最初(はな)から(つと)める気なんて無いよ! と言うか、僕だって好きでアンタの弟になんか生まれて来た訳じゃないよ!)
 そんな言葉が喉元まで出て来ましたが、ニドルスはあえてそれを飲み込みました。こんなイカレた人間とは、もう「必要最低限」以上の会話などしたくはなかったのです。
「仕方が()えから教えてやるよ。『犯人は発作的な激情に駆られて両親を殺してしまったが、今はもう充分に反省している。その証拠に、せめて「将来を嘱望されている弟」には自分の罪が及ばないようにと、自分の側から弟に絶縁を申し入れた』というシナリオにしておけば、法務官の心証も良くなるし、その分、俺の刑期も短くなるだろう? ただ、それだけのことさ」

 ヴェナドゥスは続けて、さも得意げに語りました。
「法律がいくら厳格でも、それを実際に運用するのは所詮、人間だ。そして、俺ほどの美貌と才能があれば、人間なんて、いくらでも(だま)せるんだよ」
 やはり、『他人(ひと)を騙すことは「それ自体が」悪いことだ』などという考え方は、カケラも持ち合わせていないようです。
 ニドルスが思わず嫌悪に顔を(ゆが)めたのを見て、ヴェナドゥスはまたいかにも楽しそうに笑い、こう言ってのけました。
「お前にとっても損の無い話だ。ここは仲良く、Win-Winで行こうじゃねえか」
 言いたいことは山ほどありましたが、ニドルスはそれらをすべて諦めました。
「……解った。この件に関しては、アンタの言うとおりにするよ」

「よし。じゃあ、俺はこの機会に、苗字をグルゼムに替えるってことで良いな?」
 絶縁に際しては、必ずしも『一方が苗字を替えなければならない』という訳ではないのですが、法律上はそれも広く認められている権利です。
 しかし、それは初めて聞く苗字だったので、ニドルスは思わず声に出してしまいました。
「グルゼム?」
「知らねえのか? あの母親の元の苗字だよ」
 ニドルスは今まで、そんな基本的なことすら、親から聞かされたことは一度も無かったのです。
 そして、ヴェナドゥスは、ニ
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