暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第1章】無印とA'sの補完、および、後日譚。
【第8節】キャラ設定1: ニドルス・ラッカード。(前編)
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し距離を取り、次には、近くに何も無い場所に立って周囲に魔法円を展開し、そして、両掌でデバイスを包み込んで魔力を込めて行きます。
「デバイス、起動」
 そして、ニドルスがゆっくりと両手を開くと、デバイスはその場に浮かんだまま、かすかな光を放ち始めました。
準備が、すべて整ったのです。
「マスター認証。我が名は、ニドルス・ラッカード」
『OK. Master NIDRUS. Call me, please.』
「汝の名は、ハルヴェリオス。青空を駆ける〈光の女王〉の加護を受けし者、ハルヴェリオス」
『It’s registered. I’m HALVERIOS.』

 当然ながら、『ディオーナは神話や物語の(たぐい)が好きだった』という事実(こと)は、ヴェローネもよく知っていました。それだけに、この「ハルヴェリオス」という名前も、大変に気に入ってもらえたようです。
【ミッドの古典語で、IOSは固有名詞を形容詞化するための語尾です。普通は「何々の」と訳されますが、実際には「何々に由来する、何々に関連した」といった意味になることが多く、神名についた場合に限って言えば、しばしば「何々の加護を受けた」という意味にもなり、そのまま名詞として扱うこともできます。】

 その後の雑談で、ヴェローネは初めてニドルスの家族を話題にしました。
「ところで、訓練校は全寮制だけど、御家族は納得してくれた?」
 ごく軽い口調です。おそらくは、「子離れのできない親」などを想定した「微笑ましい話題」のつもりだったのでしょう。
 ニドルスはそこで初めて『自分の家族がどれほど歪んでいるか』について、いささか愚痴まじりに語りました。
「……だから、僕などいない方が、あの家は収まりが良くなるぐらいなんですよ」
「ええ……」
 ヴェローネにとっては、完全に予想外の展開だったようです。

「昨日も、合格したことを伝えたら……普通なら、形だけでも『おめでとう』とか言うべきところだと思うんですけどね。僕の父親が一体何と言ったと思いますか?」
「……ごめんなさい。ちょっと見当がつかないわ」
「僕の方を見もせずに、『また()らん金がかかるのかよ』と言ったんですよ」
「ちょっと待って! それって、異常(おか)しくない?」
「やっぱり、異常(おか)しいですよね!」
「もしかして……ニドルス君、家では虐待されてるの?」
 赤の他人の話なのに、ヴェローネはまた今にも泣き出しそうな顔をしました。
「まあ、今時は、無視や放置も虐待の一種だそうですから……今までは恥ずかしくて、ディオーナにも誰にも話したことはありませんでしたが……まあ、『軽い虐待』なのかも知れませんね」
「ええっと……ご家族は、他に誰がいるの?」
「母と兄がいますが、父も母もこの兄にかかりっきりな
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