1か月遅れの誕生日
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といったらビールだろうが。それにお前、ファン……」
「「ファン?」」
「「「わー!」」」
コウスケが滑らせかけた口を、可奈美、響、友奈が同時に塞ぐ。
首を傾げるココアとチノ。
だが、貸し切りにしていることを幸いにと大声で叫び出す成人男性二人に(なんとビックリ、コウスケは三人を振り切った)推され、ハルトは人生初の缶ビールに触れる。
恐る恐るかんぬきを開く。すると、空気が発泡する音と共に、白い泡が溢れ出していく。
「こ、これがビール……酒か……」
「ハルトさん、あまり無理しない方が……」
冷や汗をかく響。
「あ……ああ。そうだね」
ハルトは生唾を飲み、その縁に口を付ける。
ひんやりと冷えた触覚を伝えられながら、ハルトはゆっくりと金色の液体を喉に流し込んでいく。
ゴクッゴクッと音とともに、半分ほど飲んだところで、ハルトは缶ビールを机に置いた。
「うっ……!」
口を抑えるハルト。
顔の表皮のすぐ下が何やらかき乱されていくような感覚に襲われたハルトは、頭を振りながら残りのビールを口にする。
「ハルトさん? 大丈夫?」
これは誰の声だろうか。
缶ビールを飲み切ったハルトは、大きく空気を吸い込み。
その目が、赤く染まっていく。
「え?」
「あれ?」
「お?」
「嘘?」
「へ?」
いつの間にか。
ハルトの背に、薄っすらと背びれが浮かび上がる。それも、そこそこ発光し始めている背びれが。
酔いが醒めたコウスケと真司を含め、五人の顔が青くなる。
「がああああああああああああっ!」
怒号とともに、ハルトは空間へ息を吐きだした。
凄まじい勢いの息は、空間を震わせるほどで、やがて急激に熱せられた温度は炎さえもあるように見えた。
「うおおおおお!? ハルトさん、口から火を噴いているみたいに!」
「凄い一発芸です……! 私も、これを出来るようになりたいです」
「「「「「わああああああああああああああああああああああッ!」」」」」
ハルトの正体を知らない二人は呑気なことを口にする一方、その正体を知る者たちは慌てて手をあたふたさせる。
「あ、違うのチノちゃんココアちゃん! これは……その……」
「今度ハルトさんがやろうとしている大道芸! 酔っ払っちゃって、今やっちゃってるんだよ!」
「道具もなしにやっているんですか!? すごいです、ハルトさん」
可奈美の失言は、より大きな好奇心をチノに掻き立てさせた。
「ぐるああああああああああっ!」
やがて、ハルトの顔に、邪悪な龍の紋様が浮かび上がっていく。
体内の魔力がアルコールに反応し暴走。徐々に肉
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