1か月遅れの誕生日
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を明るくする。
「着てみてよ!」
「うんうんッ!」
「そうだよ!」
響、友奈も賛同する。
頷いたハルトは、もともと薄い赤のインナーシャツに、黒い上着を袖に通す。通気性も保証されている上にそれを着てみると、今まで着ていた革ジャンと同じ雰囲気になっていた。
パンパンと、しわを無くすように服を伸ばす。
「似合う似合う!」
「うんッ! ハルトさんかっこいいよッ!」
口々に褒めてくれる皆。
彼女たちの言葉がお世辞ではないのは、その目を見れば分かる。
「松菜さん、本当に似合ってますよ」
にっこりとほほ笑む、ボブカットの少女。一見すると地味な印象を抱くが、その笑顔はとても眩しい。
「えりかちゃん……!? 来てくれたの!?」
「はい!」
蒼井えりか。
この中ではもっとも最近に出会った少女。
これまで何度も危険から助けてくれた彼女は、礼儀正しく頭を下げる。
「多田さんにご紹介頂きました。本日はお誕生日おめでとうございます」
「ありがとう。本当は先月何だけどね」
ハルトは鼻をこする。
「そういえば、その肝心のコウスケは? あと、真司の姿もなさそうだけど……」
「ああ、二人だったら……」
可奈美は遠慮がちな顔を浮かべながら、指差す。
ハルトは振り返ろうとするが、それよりも先に背後から何かがぶつかった。
「よぉハルト! お前、二十歳になったんだろ!? だったらさあ、酒も一緒に飲めるってもんだぜ!」
それは、ハルトの相棒、城戸真司だった。
ともに聖杯戦争を戦い抜く宿命を背負う、頼れる相棒。だが今やその面影はなく、ウェーブかかった茶髪が特徴の青年は、頬を真っ赤にしながらハルトへビール瓶を押し付けてきた。
「ちょ、真司? もしかして酔っ払ってるのか?」
「大人の嗜みだぜぃ?」
真司はハルトの肩に顔を乗せながら、ずっと笑みを浮かべている。
「ほらハルト、ビールビール!」
「耳元でギャーギャー騒がないで!」
ハルトの抗議をどこ吹く風とばかりに、真司は続ける。
「行こうぜ! 飲んで騒ごうぜ!」
「わわッ! コウスケさん、少しは真っ直ぐにッ!」
響の悲鳴。
奥を見れば、千鳥足の多田コウスケが響に支えられながらもこちらに歩み寄ってきている。
「コウスケまで酔ってるの!?」
おそらくそうなのだろう。
ハルトが帰ってくる前から酒を飲んだと思われる二人は、顔を真っ赤にしながら声がだんだんと大きくなっていく。
「「ビール! ビール! ビール! ビール!」」
真司とコウスケは二人で息を合わせて騒ぎ出す。
「いや、俺ビールは……」
「何言ってるんだよ。二十歳
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