1か月遅れの誕生日
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を成している。
「な、何これ?」
「知ってるハルトさん? 辛い物って実は、痛覚から来ているんだよ? だから、一緒に食べよう!」
「一緒にって、こんなに?」
「何々? ハルトさん、辛いもの好きなの?」
ココアが身を乗り出す。
ハルトがそれに答えるよりも先に、響が「そうだよッ!」と口走る。
「ねッ! ハルトさんッ!」
「いや、俺そもそも辛い物食べたことないんだけど」
「いいからいいからッ! さあ、いっただきまーすッ! 一緒に食べるよ!」
彼女が「こんな風にッ!」とばかりに、激辛ラーメンを啜る。即座にその辛さに悶えるが、ハルトは目を細めながらキムチを掴む。
「だから俺味覚ないから、こんなのなにも感じな……いッ!?」
余裕な口調だったハルトだが、キムチを口に入れた途端、目を見開いて口を抑える。
舌の奥で炎が広がるような感覚を覚えながら、思わず手で机を叩く。
誰かがコップ一杯の水を目の前に置く。
それを引っ掴んだハルトは、勢いに任せてそれを喉に流し込む。
「はあ、はあ……! な、何今の? これが美味しいってヤツなのか?」
「美味しいよねッ!」
唇を真っ赤にしながら、響がサムズアップをしてきた。
「……これが美味しいっていうんなら、俺もう一生人間と分かり合えないかも」
「え? でも、私もこういう辛い物好きだよ」
いつの間にハルトの隣に座ったのか、可奈美はそう言ってぐつぐつの辛そうな汁物をすする。
「うん! 美味しい!」
「嘘でしょ」
「ホント! はい! 私からはこれ!」
可奈美はそう言って、膝に乗せていたそれをハルトに差し出した。
反射的にハルトがそれを受け取ると、紙袋特有の音がハルトに返ってくる。
「え? これって……」
「誕生日プレゼントだよ! 私達みんなで選んだんだよ!」
「プレゼント……?」
その概念そのものを忘れていたハルトは、ゆっくりとそれを開封すると。その中から赤い布地が姿を見せた。
「ほら、もう春も終わりだし、ハルトさんの革ジャンも前の戦いで使えなくなっちゃったから。みんなで選んだんだよ!」
可奈美の言葉に、ハルトは顔が熱くなる。プレゼントを取り出し、目の前で広げてみると、それは黒い夏用の上着だった。
以前ハルトが使っていた長袖の皮ジャンにも近いデザインの半袖。通気性に優れているそれは、夏でも上着として相応しそうだ。
「……」
ハルトは、上着を見ながら言葉を失う。
「あれ? ハルトさん? どうしたの? あんまりうれしくなかった?」
「そうじゃなくて……その……誕生日プレゼントなんて、初めてだったから……」
ハルトは声を震わせながら言った。
すると、可奈美はより一層顔
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