1か月遅れの誕生日
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「お誕生日おめでとう!」
クラッカーが鳴る音が、何重にも響く。
そのサプライズに、松菜ハルトは大きく怯んだ。
「うわっ! みんなどうしたの!?」
今日の出前を終えたハルトは、そのまま住み込みの職場であるラビットハウスに戻ってきていた。
特製のバイクを停車させ、出前の荷物を指定されている場所に収納し終えたハルトは、そのまま店内ホールに戻ってきていた。
だがそこで、突然のお祝い。ホールの中心に大きく飾り付けられた『ハルトさん お誕生日おめでとう!』というアーチの文字に、ハルトは一瞬唖然とした。
「誕生日って……俺、誕生日先月だけど?」
「そうだけど! ほら、誕生日の時それどころじゃなかったから! 今日はみんなでお祝いしたいんだよ!」
元気が服を着たような少女、衛藤可奈美。彼女はそう言いながら、ハルトの手を掴み、そのまま店内へ引き込んでいく。
そう、ハルトの誕生日。先月下旬のその日が、本来の松菜ハルトの生誕日だった。
だがその日、ハルトにとってとても大きな戦いがあった。
聖杯戦争。この見滝原において行われる、願いをかけた殺し合い。その参加者であり、運営が放った刺客でもあるルーラーのサーヴァント、アマダムが巻き起こした戦いがあったのだ。
そしてその日、ハルトは初めて可奈美たちの前に、その正体を現した。
絶望した人間の魔力を食らい、生まれ出でる怪物ファントム。ハルト自身が、これまで戦ってきた宿敵と同じ生命体だったことを知られたことで、ハルトは大きく動揺してしまった。
その後、自らを見つめ直し、骸骨の姿の敵や可奈美の助力、異世界の来訪者からの励ましもあって、何とか自らを受け入れることができたのだ。
だが、その戦いの期間、ハルトたちはラビットハウスには無断での戦いとなった。欠席になった分、月末は仕事に忙殺され、そのまま時が過ぎていった。
五月初頭の大型連休に至っては、このラビットハウスも繁忙期となり、ハルトもずっと制服のまま一日を過ごすことが多かった。
その後、ラビットハウスの面々で旅行に行く話も持ち上がったが、ハルトと可奈美は残ると言い張ることで、落ち着いたのは誕生日から半月近く経った今になってしまった。
「そうだよ! だから、今日は私たちが徹底的におもてなしさせてもらうよ!」
そう元気に叫ぶのは、ハルトと同じくラビットハウスで住み込みのバイトをしている保登心愛。ハルトよりも少し先にラビットハウスで下宿を始めた明るい少女は、クルクルと回転しながらハルトの左手を掴み、可奈美とともにホールの中央に引き込んでいく。
「おおい、ちょっと!」
「いいからいいから!」
笑顔のまま、可奈美とココアはホー
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