第3部
ジパング
灼熱の戦い
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、これ以上動いたらホントに命にかかわるよ!?」
「それでも、俺たちはあの親子と約束したんだ。オロチを倒すと」
「……っ!!」
ユウリの言葉が、一言一句私の胸に突き刺さる。自分がボロボロになっても、ユウリは自分が言った責任を果たそうとしているのだ。
意を決した私は、口許を引き結んだ。
「……ユウリ。今度は私が前線に出るから、ユウリはその隙をついてオロチを攻撃して」
「ふん。元よりそのつもりだ」
「待て待て。ミオだって怪我してんだろ? その役はオレに任せろ」
「ナギ……」
そう元気そうに振舞ってはいるが、ナギだって完全に回復したわけじゃない。それに先ほどの本体オロチへの攻撃で、体力は相当消耗しているはずだ。
「安心しろバカザル。いざとなったらお前をオロチの口の中に放り込むからな」
「言ってる意味が分かんねえんだけど!?」
「待って三人とも!! ここは一度リレミトで村に戻って体制を整えて……」
「そんな暇はない。そもそもあいつにそんな猶予を与えてしまったら、次は倒せなくなる」
「……っ」
ユウリに一蹴され、シーラは泣きそうになる。それはユウリに言われたわけではないことは明らかであった。
「ダメだよ!! それでもし死んじゃったら……、魔王を倒すどころじゃなくなっちゃう!! あたしたちの目的は魔王を倒すことでしょ!?」
「けどよ、オロチごとき倒せなかったら、それこそ魔王なんて一生かかっても倒せねえよ。それにここで退いたら、絶対オレ後悔するし」
「大丈夫だよシーラ。今までだって何とかやってこれたんだもん! それに、皆で力を合わせれば、絶対にオロチに勝てるよ!!」
「皆……」
シーラを納得させるために言ったのだが、彼女は涙を止めることをやめない。それどころか、どんどん溢れてくるではないか。落ちた涙が次々と、彼女が手にしている賢者の杖へと染みていく。
「うう……、やだよう……。お願いだから、一度村に戻ろう? もし皆がいなくなったら、あたし……」
すると突然、彼女の持っていた杖が光り出した。所有者本人も、一瞬何が起きたのかわからず、目を瞬かせている。
「え!?」
この光り方は、彼女が賢者に転職したときに似ている。確かその時は、賢者の杖にイグノーさんの意志が宿っていて、そのおかげで彼女は賢者になれたのだ。
そして光は杖だけでなく、私やユウリ、ナギへと伝わっていく。その光を浴びた途端、まるで暖かい陽の光に包まれているような感覚に陥った。
「何これ……。すごくあったかくて気持ちいい……」
そこまで言って、ふと自分の両腕を見る。なんと、やけどでただれていた皮膚が、一瞬にして治っていったではないか。
他の二人も気づいたのか、自分が負った怪我が見る見るうちに治っていく様子を、茫然としながら眺めている。
「シーラ
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