第3部
ジパング
灼熱の戦い
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せる。
「二人もここから離れないと、炎が……」
「オレたちは大丈夫だから!! お前はユウリと一緒に早く逃げろ!!」
ナギにぴしゃりと突き放され、私は押し黙る。
「……二人を信じよう」
ユウリも納得しきれない顔ではいたが、煮え切らない私の腕を掴むと、すぐに走り出した。
そんな……! もともと体力の低いシーラがあの本体オロチの炎をまともに浴びたら……!!
……いや、でもここはユウリの言うとおり、シーラたちを信じよう。私は震える拳を必死に抑え、ユウリとともにその場から離れた。
「ルカニ!!」
シーラの放った呪文は、相手の防御力を激減させる効果を持つ。途端、オロチの周りに紫色の光が淡く輝く。その間にも、本体オロチは大きく息を吸い込み続けている。
「ナギちん、あとはお願い!!」
「任せろ!!」
シーラの横をすり抜け、ナギがチェーンクロスを振りかぶりながら本体オロチに向かって突っ込んでいく。勢いよく跳躍すると、そのままオロチの頭にチェーンクロスを振り落とした。
『ガアアァァッッ!?』
「まだまだぁっ!!」
続けて二発、三発と、怒涛の勢いで攻撃を浴びせるナギ。ルカニのおかげか、ダメージは相当大きいらしく、一撃受けるごとに本体オロチの悲鳴が絶え間なく響く。
しかし、まだ倒れない。どれ程体力があるのだろう。しかし加勢するにもこの距離では遠すぎるし、何よりシーラ達に後を任せた手前、ここで再び戻ったら彼らを信じていないことになる。
でも……。
「大丈夫かな……」
ぼそりと、本音が漏れてしまう。それを聞いていたのか、ユウリが答えた。
「今の俺たちが行っても足手まといになるだけだ」
そこまで言うと、ユウリはその場に崩れ落ちるように座り込んだ。炎によって焼け焦げた両腕や腹部、両足の皮膚は白、あるいは黒く焼けただれ、もはや痛覚もないのか、痛みよりも発熱によって苦しんでいる。さらに顔は化粧とオロチの返り血でぐちゃぐちゃになっており、もはや美少女と呼ばれた容貌は影も形もない。
私は急いで鞄からありったけの薬草を取り出し、患部に貼り付けた。薬草は細かくして飲むほかに、傷口など患部に直接貼っても効果がある。
「油断したな……。まだまだ修行不足ってわけか」
自嘲するように、誰にともなく呟くユウリ。それはユウリだけではない。私もまた自分自身の不甲斐なさを痛感している。
二人の間に、気まずい雰囲気が漂った。何かしたくてもできないもどかしさが、余計に自分を落ち込ませる。
「とりあえず今は、ここを乗り切ることを考えよう。……強くなるのは、それからだよ」
私は前線で戦っている二人に目をやる。ナギの怒涛の攻撃に、本体オロチはいまだに炎を吐き出していない。
「ナギちん、もうすぐ呪文が切れちゃう!!」
「んなこと言っても、こい
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