第二章
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「あの、ぢょっといいでしょうか」
「何ですか?」
「ここは確かに餌が豊富ですが」
居蔵はラシールにその顔で話した。
「やっぱり餌には限りがありますね」
「それでその絵さのことも聞きたくてです」
「私達を呼んでくれましたね」
「はい、やはり人工飼料ですか」
「そうなりますね、ただ」
首を傾げさせつつだ、居蔵はラシールに言った。
「あまりです」
「よくないですか」
「人工飼料も多いと」
こう言うのだった。
「水の底に溜まって水質が変わりますから」
「海老の食べ残しや食べカスがですね」
「はい、そうなって」
そしてというのだ。
「水質が変わります、元々ここはマングローブ林でしたが」
「伐採しました、全部」
「そうですね、ですが」
「ですがといいますと」
「そのマングローブがです」
この木がというのだ。
「他でもなく海老が食べる有機物を生み出していました」
「そうでしたね」
ラシールもそれは知っていた。
「それで養殖場にする前の海老がいまして」
「漁で獲って」
「貴国にも売らせてもらっていました」
日本にもというのだ。
「そうでした」
「それで獲り尽くして」
「今度は養殖場にします」
「そうですね、ですが」
居蔵はここまで聞いて難しい顔で述べた。
「マングローブも必要かと」
「そうですか?」
「はい、環境のことも考えると」
そうすると、というのだ。
「やはり」
「そうでしょうか」
「日本も伐採し過ぎてってありましたし」
「マングローブ林もですか」
「あまり伐採し過ぎたことは」
どうしてもというのだ。
「よくなかったかと」
「そうですか」
「そうも思います、ですが海老の養殖は必要です」
マレーシアの産業になる、だからだというのだ。
「いいものを造りますね」
「宜しくお願いします」
実際日本の水産会社の協力もあってだった。
そこにはよい養殖場が出来た、そして有機物がなくなると人工飼料が与えられて海老がどんどん輸出されていった。
そこからもマレーシアは利益を得たが。
「人工飼料が水底に溜まり過ぎるとな」
「もう養殖には使えないな」
「次の場所にするか」
「そうしよう」
こう言ってその養殖場が放棄されてだった。
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