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聖譚歌の奏者達
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ルンまで連れていくことが出来ません」

「キリト君、ごめんなさい。どうしても行かなきゃいけないの。多分、ここにも帰ってこれないかもしれない」


キリトは2人を交互に見つめ、頷いた。


「そうか。じゃあ、移動しながら話を聞こう」







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キリトにシルフとケットシーの同盟の件を話し、それをサラマンダーが襲撃するつもりだということを話した。

彼は全てを聞いた上で言った。


『仮想世界だからこそ、どんなに愚かしく見えても、守らなきゃならないものがある』


それを大切な人に教わったと……。だから、自分の利益のために相手をないがしろにすることはない、と。


――彼女の兄はかつてこう言った『俺は目標のためには如何なる犠牲も払うし、障害は乗り越える。邪魔立てするやつは誰だろうと斬って捨てる』、と。


(……この人達がかえてくれたのか)


痩せ細り、目だけがギラギラして貪欲に力を求めていた兄はやがて、事故により、全ての可能性を砕かれた。それからは感情が消え、やがてその姿を見なくなってしまった。

それを、今のように変えてくれたのがこの人達だ。


「「……ありがとう」」


奇しくも、リーファとお礼の言葉が重なった。意味は違ったが、そこに込められた感謝は一緒だった。







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Sideレイ



状況は絶望的だった。防御主体の立ち回りで戦ったのにも関わらず、敵の猛攻にこちらのHPは冗談のように削られていく。


「ぐぁ……!!」


強烈な前足パンチをくらい、後方に激しく吹き飛ばされる。

目の焦点が合っていない。痛みは無いとはいえ、衝撃はあるので、脳が脳震盪を錯覚しているのだろう。


「セイン、アルセ!!一旦、《虹の谷》まで引くぞ。そこまでは追ってこないはずだ!!」

「……っ、そうするしかないね。アルセ、後退するよ!!」

「《虹の谷》!?そこまで逃げれるの?」


彼女の言うことはもっともだ。その前に壊滅(ワイプ)する可能性は大きい。だが、このままでは全滅する。

ヴィレッタ、レックス、そしてハンニャの援護を受けながら前線が後退をする。


「ガウッ!!」


そうはさせまいと2匹はAIだとは思えない見事なコンビネーションで追撃してくる。


「……ああもう!焦れったい。皆、20秒死ぬ気で稼ぎなさい。あたしが何とかしてあげる!」

「……何とかできんのか?」


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