第二章
[8]前話
「きらきらして」
「それが奇麗ですね」
「そうですね、雨に直接遭うと大変ですが」
花純が見せた上司の返事にも笑顔になりつつ話した。
「こうしてその難を逃れて」
「そうしてですね」
「こうして中から見ますと」
「奇麗ですね」
「それで喫茶店の中も」
優花は今度はこんなことを言った。
「ちょっとした水族館の中みたいで」
「お水の中にあるみたいで、ですね」
「雨が降る中ですと」
まさに今の様にというのだ。
「そんな風にも思えますね」
「そうですね、言われてみれば」
ここで二人がそれぞれ注文したものが来た、花純はホットコーヒーであり優花はホットレモンティーである。
二人はそれぞれ注文したものを口にした、花純はその中で白く清潔で観賞用の植物もある店の中を目で見回して話した。
「雨の中の喫茶店は」
「水族館みたいにも思えますよね」
「ええ、ちょっとした」
優花の言う通りにというのだ。
「お魚は見えないですが」
「それでも街自体がそんな風で」
「そうですね、雨自体は遭いたくなくても」
「雨に風情はありますね」
「見ていると奇麗ですね」
「本当に」
二人がそれぞれ注文したものを飲みつつ話した、そうしてだった。
雨は通り雨だったのかすぐに止んだ、花純はそれを見て優花に言った。
「雨が止みましたし」
「すぐに残りを飲んで」
「そうしてです」
そのうえでというのだ。
「お店を出て」
「お勘定を払って」
「出ましょう」
「そうですね、雨宿りですし」
優花もその通りだと答えた。
「そうしましょう」
「それで会社に戻りましょう」
「雨が止みましたから」
二人で話してだった。
そして注文したものをそれぞれ飲み終えてだった。
勘定を払って店を出た、すると。
雨は完全に止み青空が広がっていた、そして道は。
水たまりがあちこちに出来ていてそこに太陽が映り遠くには虹さえ見えていた、優花はその景色を見て言った。
「雨は嫌でも」
「はい、降った後は奇麗ですね」
花純もその景色を見て応えた。
「とても」
「そうですね、窓にはまだ露があって」
「それも光って」
「綺麗ですよね」
「そうですね、ではその奇麗な中を歩いて」
「そうしてですね」
「会社に帰りましょう」
二人でにこりと笑って話してだった。
並んで歩いて会社に向かった、雨上がりの街はアスファリトやコンクリートはまだ濡れていて水たまりもあり窓にはまだ雨露があった。
そうしてきらきらと輝き虹も見えた、二人はその中を笑顔で歩いて彼女達の職場に帰ったのであった。雨の後で。
露の中の喫茶店 完
2023・2・11
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