第二章
[8]前話
「じゃあちょっと甲板に出て」
「艦内じゃ形態の電波届きにくいからな」
「そうしてきますね」
「ちゃんと説明しろよ」
「そうします」
車田に言ってだった。
金田はすぐに甲板に出て弁護士に電話をかけなおして説明した、すると。
「間違いってわかってくれました」
「今舞鶴にいるって言ったらか」
「それで」
「よかったな、しかしな」
車田は誤解が解けたことをよしとしながらこう返した。
「世の中何があるかわからないな」
「全くですよ、飲みながら何でもないこと言ったつもりで」
自分の仕事とどうして来たかをだ。
「女の子見たら」
「それだけでな」
「ストーカーに間違えられるなんて」
「あれだな、迂闊に立場言ってな」
「女の子見るとですね」
「誤解されるってことだな」
「その可能性があるんですね」
「ああ、それでな」
車田はさらに言った。
「後はそのストーカーが捕まることを祈ろうな」
「何かやる前に」
「それを願おうな」
「ですね、そうなることを期待しますよ」
誤解が解けてほっとした顔になっている、その顔でだ。
金田は車田に応えた、そうしてだった。
彼は仕事に戻った、艦内で自分の仕事をしていった。そして後日バーの女性従業員にストーカー行為を行っていた江田幸生という男が通報を受けて捕まったという話を聞いた、金田も車田もその話を聞いて何かある前に捕まってよかっと思った。
そしてだ、その後で金田は舞鶴の駅前の焼き肉屋で飲みながら話した。
「あの時俺が説明した時」
「電話が来た時か」
「俺が舞鶴にいるって聞いたら驚きました」
「そりゃ驚くな」
車田はホルモンを食べつつ応えた。
「出来る筈がないからな」
「その被害に遭っていた娘が俺だと思ったら」
「ずっと見ていたからか」
「そう思って通報したらです」
「お前が舞鶴にいたからか」
「はい、すいませんともです」
その様にもというのだ。
「言われました」
「そうなんだな」
「はい、まあ犯人も見付かったし」
「よかったな」
「これでこの話は完全に終わりですね」
「ああ、けれどな」
車田はジョッキのビールを飲む金田に話した。
「これからはな」
「二度とこんなことがない様に気を付けます」
「迂闊に立場言って女の子見ない様にしろよ」
「そうします」
ここでもその話をした、そして実際に彼は二度とそうしたことをしなかった。
ストーカー出来る筈がない 完
2023・10・22
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