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渦巻く滄海 紅き空 【下】
七十七 新生“暁”
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想は外れた。

むしろ其処に描かれていた術式に青褪める。


「んな…ッ、ぎゃ、【逆口寄せの術】!?」



【逆口寄せ】とは口寄せ動物が契約者を逆に口寄せしたり、自分自身を対象のもとへ召喚する術だ。

それぐらいの知識、水月にもある。
問題はどんな得体の知れない存在が飛び出してくるのか。


ヒッ、と放り投げた巻物が床に落ちる。
其処から朦々と立ち込み始めた白煙を見て、水月は慌てて二階の窓から巻物を放り出した。
何が飛び出してくるかわからない危険な代物を宿の室内で呼び出すわけにはいかない。

地面にべしゃりと墜ちた巻物から次々と立ち上る白煙。
今まさにペインが口寄せした動物達に襲われていた木ノ葉の里人が、突然降って湧いた巻物を前に呆然と尻餅をついている。


急に現れた巻物から次々と白煙が立ち上り、やがて其処から声がした。




























「──やっと出番か」


朦々と立ち上る白煙。
その中から煙に人影がおぼろげに浮かぶ。



「久しぶりに呼び出されたと思ったら戦場とは…」
「意外と人使いが荒い子だで」
「この展開を前以て伝えられていただろう。まったくもって末恐ろしい切れ者だよ」
「そう、その通り。そして本当の戦場にしないようにするのがワシらの役目だ」
「そーそー!あっしの一番の親友であるナーちゃんの期待に応えるっすよ!」




次から次へと、木ノ葉の里の者ではない誰かの声が、煙から聞こえてくる。
急に戦場と化した里で阿鼻叫喚となっているこの場で、更なる敵戦力か、と里人達を守ろうとしていた木ノ葉の忍びが警戒心を高めた。



「ユギトってば、あっしのナーちゃんの姿が見えないからって拗ねちゃダメっすよ〜」
「な…っ、拗ねてなどいない!おまえこそ、彼に対して馴れ馴れしいぞ、フウ!誰がお前のだ!?」
「そうだぞ…あるじはオレ達皆の救世主だ」
「前から聞きたかったんだが…アイツを“あるじ”と呼んでいるのは何故なんだで?ウタカタ」
「…?救世主だと長いだろう?救世主を略して、そう呼んでいるだけだが…」
「ま、まぁワシらのリーダーであることは確かだろうな」
「最初はオレよりずっとチビでガキで弱そうに見えたが、な」
「……お前にだけは言われたくないと思うぞ、やぐら」




妻帯者であるにもかかわらず、子どものような風貌である童顔が、地団駄を踏む。




「オレは元四代目水影だし!実際偉かったし!!大人だしィ!!アイツに助けられるまで操られてたけどぉ!」
「と、ともかく此処木ノ葉でそう気軽に名前を呼んでは、小僧に迷惑がかかる。ウタカタを倣って
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