七十七 新生“暁”
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る『邪神様』の呼び名と同等に、苦手なものだった。
だから改めて己の名を名乗る。
その名を耳にした途端、自来也の眼が驚愕で大きく見開いた。
「俺の名前は──うずまきナルトだ」
火の手が上がった。
それは木ノ葉の里の宿からでも十分に把握できた。
「おいおいおいおい…ッ、」
ここ数日泊まっている宿の二階で、外の喧騒に眉を顰める。
そっと窓から外を窺った水月はすぐさま、バッ、と身を潜めた。
壁際に背中を押しつけ、血の気が引いた青い顔で硬直する。
「冗談だろ…!?」
桃地再不斬と共に木ノ葉の里に潜入し、『根』に囚われていた実の兄である満月を無事取り戻した水月は、今日までずっと木ノ葉の里に潜伏していた。
何故なら満月はずっと水槽の中に閉じ込められていたので歩くのも儘ならぬほど衰弱し切っている。
そんな兄を連れ出すのは至難の業。
故に【変化の術】で名を変え、姿を変え、里中の宿を怪しまれないように満月と共に転々と泊まり歩いていたのである。
もっともずっと木ノ葉の里で秘かに身を潜めていた理由は、兄の体調を考慮してのこともあるが、ナルトの指示だったからだ。
こうなることを見越して自分を里に残しておいたのかと思い当って、水月は顔を歪めた。
ナルトの先見の明に対する畏怖と同時に、怒りを覚える。
こんな危機的状況をどう脱すればいいのか。現状をどう打破すればいいのか、と未だに身体を満足に動かせずに寝たきりである満月へチラリと視線を投げながら、水月は頭を抱えた。
どこからか悲鳴が聞こえてくる。戦と死の匂いを伴って黒衣が翻るのを、窓の端から覗き見た。
黒地に赤き雲。
『暁』の証だ。
突然のペインの襲撃に、驚きを隠せないまま、水月は宿の壁に張り付いて、対策を練ろうと試みた。
けれど思考はいたずらに回るばかりで一向に解決策を思いつけない。
(どうする…このままじゃ木ノ葉諸共、殺されてしまう…ッ)
水月も──兄の満月も。
せっかく取り戻した兄の命がこんな形で終わるなんて悪夢だとしても酷すぎる。
悪夢より最悪な現状に顔を引き攣らせていた水月は、やがてハッ、と思い出した。
飛びつくようにして焦燥と共にソレを取り出す。
満月を奪回した再不斬の水分身。それと別れる間際に渡された代物。
時が来れば知らせる、と告げた再不斬の水分身から投げて寄越された巻物の存在を、水月は思い出したのだ。
「こんな巻物ひとつでどーにかなるもんでもないだろーけど、」
藁にも縋る想いで水月は巻物を開く。
何等かのナルトからの指示が書かれてあるのかと考えていた水月の予
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