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渦巻く滄海 紅き空 【下】
七十七 新生“暁”
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「…どういうこと…?何故貴方がその名を、」



世界を渡り歩く医者として名を馳せていた神農。

腕が立つ医者である一方、その正体は世界征服を企んでいた空忍の長だ。
未だに消息不明となっている神農だが、その正体を後々知った大蛇丸は、戸惑い気味にナルトへ問いを投げた。


「彼は空忍をそれなりに集めていた集団だったはずよ」
「耳が早いな。だが古い情報だ」

結局世間に知らしめることもなく、ナルトに滅ぼされた忍びの集団だ。
世の中の誰にも知られず、ひっそりと世界征服を企み、その企みをあっさり崩された神農の末路を思い出しながら、ナルトは大蛇丸に「簡単な話だ」と軽く肩を竦めた。


「目障りだったから消した。それだけだよ」



大蛇丸が息を呑む音を、自来也は隣で聞いた。
大蛇丸の話から察するに、それなりに腕の立つ忍びの集団を、目の前の青年はこの世から消し去ったというのか。

神農の名は、世界各地を旅していた自来也も聞いた覚えがある。
空忍を集めていた集団というのは初耳だが、消息不明になったのは知っていた。


だが消息を絶った時期はかなり昔。
つまりその時点で神農を始めとした空忍は消されたということだ。
末恐ろしいと今更ながら、自来也の背筋を冷たい汗がつたってゆく。


もっとも実際は、神農自身は【肉体活性の術】の反動で自滅し、老人と化しており、今も生き永らえているので、消したというのは語弊がある。

しかしながらナルトは嘘をついたわけではない。
ただ伝えなかったことがあるだけだ。


実際は消したのは記憶のみで、神農自身は老いた身体で村再興に貢献している。
己が空忍を率いていた過去も神農という名前だった事実も何もかもを忘れ、ただ自身が虐げてきた村人達の為に、今はその命を尽くして生き永らえている。
その真実を言わなかっただけだ。


嘘の中に真実を練り込ませ、あたかも本当のように見せかけるのが得意であるナルトは、こうしている今も何食わぬ顔で、その場の面々に視線を奔らせていた。



「神サマ…!オレ、ずっと貴方に会いたくて…!」

けれど自来也と大蛇丸の緊張を伴った対峙に反して、空気を読まずにアマルが呼ぶ声に、ナルトは眉間に皺を寄せた。

「悪いが、そう呼ぶのはやめてくれないか」


神自体が嫌いなナルトは、アマルの呼び方に眉を顰める。
彼女には悪いが、あの時は君麻呂のついででしかなかった。

急を要するから君麻呂より先に治療しただけに過ぎない。
だから彼女にこれほど感謝される意味がナルトには理解できなかった。
事実、命を救ったにもかかわらず。



故に、ナルトは改めて、己の名を名乗る。
その呼び名は、飛段からしゃっちゅう呼ばれ
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