七十七 新生“暁”
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『よろしいのですか?』
【念華微笑】の術。
遠く離れた相手とも脳内で会話できる術で、カブトは脳裏に響くナルトの声に問うた。
『戦力過多になりますよ』
「かまわないさ」
カブトの問いに、ナルトはあっさり応えた。
「“暁”のお披露目といこう」
『しかし。あまりにも』
狼狽する。カブトの困惑を声音から感じ取っているだろうに、ナルトの返答は依然として感情の一切が窺えなかった。
それは故郷である里に対しても。
「平和ボケした木ノ葉にはいい薬だ」
ナルトとの対話を終え、【念華微笑】の術を解いたカブトはふう、と一息をついた。
しとしと、と細い糸を撒いたような雨が相変わらず降り続けている雨隠れの里。
『暁』のリーダーである長門の傍で、彼の身体を診ている医療忍者のカブトは常に雨で暗い里を眺めた。
窓から外を覗きながら、雨音に掻き消されるほどの小声を口にする。
【念華微笑】の術でナルトと最後に交わした言葉を、真意を交えてカブトは呟いた。
「本当に……──おそろしいほど優しいヒトですよ」
「“暁”のお披露目といこう」
穏やかでやわらかな声音で、冷酷に告げる。
突如現れた存在の発言を、自来也は愕然と聞いていた。
「忍びではない者…里人にとって、戦力はさほど問題ではない。数の多さが重要だ」
それはつまり。数の暴力で圧倒するという意味。
即ち、木ノ葉の里に『暁』という犯罪者どもを導入させると、この青年は言っているのだ。
「圧倒的な力の前ではひれ伏すも同然。だが結局のところ、数の暴力のほうが絶望感も高い」
宣戦布告も同然だった。
息を呑んだ自来也は殺気を放つ。しかしその殺気を青年は柳に風とばかりに受け流した。
それだけで実力の高さが窺える。
「平和ボケした木ノ葉にはいい薬だ」
限界だった。
得体の知れない青年の正体を知る為に大人しく言動を窺っていたが、その一言で自来也は頭に血が上った。
地を蹴り、その青年へ攻撃しようとした自来也の背後で、大蛇丸の焦った声が響いた。
「やめなさい、自来也ッ!死にたいの!?」
大蛇丸の制止の声を振り切って、自来也は【螺旋丸】を放つ。
しかしながら渾身のその一撃はあっさり受け止められた。
他でもない、目の前の得体の知れない青年によって。
(ば、馬鹿な…!?)
大木も大岩でさえ砕き、粉砕する攻撃力のある【螺旋丸】。
それをこうもあっさり受け止めた目の前の青年は何者か。
間近で見た吸い込まれそうな瞳の蒼に、一瞬、呆けてしまう。
すぐさまハッ、と我に返った自来也
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