第二章
[8]前話
この話を聞いてだ、かつて欧州でサッカー選手をしていて今はハワイの少年チームでサッカーを教えながらスポーツ用品店を経営しているケンナ=ワウイ褐色の肌で痩せた一八〇近い背丈の短い髪の彼は馴染みの客にこの話をしてだった。
そしてだ、家の茶色い犬を紹介して言った。
「やっぱりな。希望はな」
「あるよな」
「そうだよ、俺だってな」
客にいいラケットを見せつつ話した。
「この子、マオイだけれどな」
「ワン」
「アルバニアで出会ったんだよ」
この国でというのだ。
「現役だった頃にな」
「まだその頃か」
「出会って地元の団体に事情を話して」
そうしてというのだ。
「里親を探してもらう筈が」
「それでもか」
「見付からないでな」
その里親がというのだ。
「あそこも色々あってな」
「カフカスの方だよな」
「物騒だったりして里親をやる余裕もな」
「ない家もあるか」
「だからな」
それでというのだ。
「俺がな」
「引き取ったか」
「それでな」
「今一緒に暮らしてるか」
「どんな状況でもな」
その犬を見つつ客に話した。
「やっぱり希望ってあってな」
「助かるんだな」
「そうだよ、ちなみにこいつの名前もホープでな」
「奇遇だな」
「名前は一緒だな」
「そうだよな」
「思うところは一緒だな」
客に笑って話した。
「どんな状況でもな」
「希望ってあるんだな」
「そうだな、だから俺もこれからもな」
「ホープと一緒にいるんだな」
「そうするな」
こう言ってだった。
客に今度はラケットの話を真剣にした、そしてそのラケットを買ってもらったのだった。横にいる希望を感じながら。
犬と希望 完
2023・10・20
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