第3部
ジパング
オロチとの戦い
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、あたしの話を聞いて」
シーラの真摯な表情に、私は落ち着きを取り戻す。
「何か考えがあるの?」
「考えって言うより、気づいたことがあるの。あのオロチの首、ただ単に五つあるわけじゃないと思うの」
「どういうこと?」
私が尋ねると、シーラはオロチの首を順番に指差した。
「まず、中央にある一番大きな頭が他のオロチの司令塔だと思う。喋ってるのもあいつだけだし、他の首が攻撃する直前、必ずあいつの目が赤く光るの。きっとそのときに頭に直接指令を出してるんだと思う。あいつの攻撃手段は咆哮と今吐いた超ヤバい炎のブレス。でも攻撃力が高い分、そのあとの反動からかしばらく動けないみたい」
なるほど、シーラの分析通り、今炎を吐いた中央の首は口を半開きにしながら微動だにしない。次の攻撃に移るまで若干のタイムラグがあるのだ。
「一つはさっき倒したから、残りの首は四つ。中央の頭と、さっき倒した手前側の右を除くとして、手前側の左は自分の牙を使った近接攻撃がメイン。奥側の右は最初に放った比較的避けやすい炎のブレス。奥側の左は他の首の攻撃の様子を見ながら追撃するパターンが多い」
すらすらとオロチの首のそれぞれの特徴を説明するシーラに対し、私は舌を巻いた。
「シーラ、よくこんな短い間にいろいろ分析できたね!?」
「皆と違って遠くから見てることしか出来ないからね。それより、あたしもユウリちゃんもきっとMPが少ないから、呪文はそんなに使えない。ここは皆で連携して、短期決戦でケリをつけるしかないの。だからミオちん、無理を承知でお願い。ユウリちゃんと協力してオロチの注意を引き付けて!」
「わかった!」
私は是非もなくうなずく。
「おいお前ら。オレを忘れてもらっちゃ困るぞ」
「うわっ!?」
ぬっ、と亡霊のように現れたのは、顔中煤だらけのナギだった。ナギもユウリと同じくらいの位置にいたはずだが、ユウリの呪文のお陰かそれほど大した怪我はしていない。
「あいつに借りを作っちまったからな。オレもやるぜ!」
「ならナギちんは二人の後方支援と、あたしの護衛をお願い!」
続けて、シーラは私とナギに明瞭な指示を出す。
「ミオちんはまずユウリちゃんに今のことを伝えて!! あとは指示通りにお願い!!」
『オッケー!!』
私とナギの声がハモると同時に、私たちはそれぞれの目的に向かって走り出す。
なんとしてもオロチを倒さなければ。ここで負けるようじゃ、到底魔王には勝てっこない。
私は決意を改め、オロチの元へと向かうユウリを追いかけたのだった。
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