第3部
ジパング
オロチとの戦い
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ちはすぐにわらわに喰われるのだからな』
どうやら生け贄だろうとなかろうと、オロチは私たちを食べる気でいるらしい。それにしてもこの話し方、どこかで聞いたような……。
「残念だが、その風習は今日で終わりだ。そして、お前の命もな」
ユウリの言葉を汲み取ったオロチの目がわずかに細くなる。
『ほう……。わらわに抗うというのか。面白い、ならば受けて立とうぞ!』
その一声が戦いの合図となった。この場にいる全員が戦闘態勢に入る。
オロチが咆哮を上げると、その声は衝撃破となって洞窟の壁や地面に亀裂を生み、マグマをも噴き上がらせた。
「シーラ!!」
ナギの声に、シーラは短く頷くと素早く呪文を唱えた。
「ピオリム!!」
シーラの力強い言葉に、私たち四人の身体が白く輝きだす。そして誰よりも先に、ナギが前線へと飛び出した。
ピオリムの効力のおかげで、もともと素早いナギの動きがさらに早くなる。その証拠に、オロチですらナギの俊敏な動きに気づかず、あっという間にオロチの頭の近くまで飛び移っていた。
「くらえ!!」
ナギのチェーンクロスが、先ほどまで喋っていたオロチの首を直撃した。その衝撃でオロチはよろめいたが、すぐに体勢を戻し頭を振る。
『ふむ……。所詮この程度か』
すると別のオロチの首が横からナギを食いちぎろうと牙を向けた。それにいち早く気付いたナギはチェーンクロスを振り下ろし、オロチの牙を弾き返す。
だが、今度はまた別の首がナギの背後に襲い掛かった。
「うぐっっ!!」
オロチの首に体当たりされ、ナギは勢いよく吹っ飛ばされた。どうやらあのオロチの首は、それぞれ別の意思を持って行動しているようだ。
「バカザル!! 後先考えず突っ走るな!!」
「うるせー!! ちょっと油断しただけだ!!」
落下する直前に受け身を取っていたのか、地面に上手く転がるナギ。ユウリに軽口を言えるぐらいは、余裕があるようだ。
「皆も気を付けて!! あの魔物はあたしたちが今まで戦った中で一番ヤバいかも!!」
シーラが賢者の杖を構えながら声を上げる。それは私も薄々感じていたことだ。
以前テンタクルスに遭遇したときは逃げることを優先していたからなんとかなったが、今回は倒すことが目的なのだ。おそらくテンタクルスと同等、もしくはそれ以上の強敵なのは間違いない。その緊迫した状況に、知らぬ間に汗が頬を伝い落ちるのがわかる。
『どうした? 先ほどの威勢はどこへ行ってしまったのかのう?』
嘲笑うかのようにオロチが問いかける。それに反応したのか、ユウリが一歩前に出た。
「あのバカと一緒にするな!」
そう言うとユウリは剣を構えなおし、シーラが唱えたピオリムの効果を身にまといながら、ナギと同様にオロチに向かって走り出した。
『ふっ、下等な人間どもは考える
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