暗躍.2「工作活動」
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激怒したリュカさんからラインハットの貴族の情報を聞いて捜索隊を出してから3日が経過した。
状況は全く以て進展していない。
ネル子爵家の四男……ドン・ファン・ネルの足取りは依然として不明である。
もし山中で凍死していれば、そろそろ見つかっても良いはずなのだが、見つけられないという事は生きていて彷徨っているのかもしれない。
寧ろ厄介である。
捜索隊も当初は100人程の人数だったのだが、今では500人を超えて動員している。
死体の一部だけでも見つけられれば、言い訳のしようも出来るのに。
そんな事を考え出した頃だった……何時もはニヤけているリュカさんが真剣な面持ちで再来訪してきた。
「おい。ラインハットの貴族は見つかって……なさそうだな」
見つかったのか質問しようとして、我々の表情で答えが分かってしまったリュカさん。
眉間にシワを寄せて考えている。
「拙いなぁ……」
「あぁ、拙いな」
ここはお義父さんの書斎で我々以外に人は居ない……にも関わらず、声を潜めて会話する二人。
「最悪の事態だけは避けたいな」
「そんな事は言われんでも解っている!」
何も進展しない苛立ちからお義父さんもリュカさんに八つ当たりをしている。
「おい……最悪の場合は我が国に全責任を擦り付けても構わないぞ」
「な、何!? い、良いのか?」
ど、如何言う事だ!?
そんな事をしてリュカさんには何も利益は無いと思うが……
「元々息子の嫁が起こした事件だ。何もグランバニア・サラボナ両国共がラインハットに恨まれる必要は無いだろ」
「そ、そうだが……」
我々にとってはありがたい話である……が、
「勿論、ウチはラインハットに対して色々と譲歩しなきゃならなくなるだろう……当然大損だ」
「あ、ああ……そ、そうだな……」
つ、つまり……?
「その損失分は、今後の取引等で返してもらう。勿論、表面上今回の事件は明示されない」
「と、当然だ……」
これは……
「事実としてサラボナはラインハットの貴族の入国も、グランバニアの王族の入国も知らなかったワケだし、そのスタンスを貫いて無関係で居ろ。何とか僕が親友のヘンリーを説得して、表面的には大事にならない様にする。表面上大事にならない以上、ラインハットもその貴族もサラボナに対しては何も言ってこないだろう」
「それは……そうだな」
「その貴族の馬鹿ガキがアルルを襲った事が起因なのだから、向こうも大事にはさせないはずだ」
「そ、そうなる……か?」
「そうするんだよ!」
「う……うむ……」
要はリュカさんの何時ものゴリ押しと、両国国王の個人的な仲で話を纏めるつ
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