暗躍.1「身柄確保」
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い。姿を見られる前に帰って来てくれ」
「ガウア?(良いんですか?)」
サラボナの捜索隊くらいは蹴散らして確保出来るのだが……
「良いんだよ。重要なのは誰にも知られないことだから。誰かに見つかって僕等が関与してることがバレる方がリカバリーが難しい。でも上手く確保出来たら、監禁する。申し訳ないけど、僕は僕で別件があるから、監禁場所に行けるのは夕方以降になると思う……それまで見張っていてくれ」
「ニャァン!(了解です!)」
リュカ様が『良い』と言うのなら間違いは無い。
だから準備は大丈夫だと態度で表した。
それに釣られてホイミンも私の首に巻き付いて準備完了を告げる。
いざ出陣である!
プックルSIDE END
(サラボナ:ルドマン邸)
アンディーSIDE
夜も明けきらぬ早朝。
突然リュカさんが怒鳴り込んできた。
いや、物の例えではなくて本当に大声で怒鳴り込んできた。
本来なら激怒してもいい態度なのだが、その剣幕にお義父さんもたじろいでいる。
何をそんなに怒っているのか尋ねると……
昨晩、山奥の村の温泉で女性が襲われる事件が発生していたらしい。
しかもその被害者があろうことか王太子妃殿下。
リュカさんはこの国の治安に対して激怒をしているのだ。
だがこれは不可抗力としか言いようが無い。
まず王太子夫妻が旅行に来ていることすら連絡されてなかったのだから。
その事を言ったが『誰が何時何しに入国しようが、安全な国作りをするのが国家主席の仕事だろ!』と一喝された。
理想はその通りだが、現実は上手くいかない。
でもそんな事を言える訳も無く、黙ってリュカさんの怒気が収まるのを待っていた。
暫く怒鳴り散らして落ち着いたのか、
『お前等に言っても埒が明かない。もういい……直接ラインハットに文句を言ってやる! この件は俺が直接解決するから手を出すんじゃねーぞ!』
と言って、出て行こうとする。
何故ラインハットが関係するのか問い質すと、
『この男……如何やらラインハット王国の子爵家の者らしい。自らドン・ファン・ネルと名乗ったそうだ』
との爆弾発言!
ヤバいです。
ネル子爵家はラインハット王家にとって重要な貴族家。
このまま放置して我が国で死なれたら国際問題になりかねない。
ってか何でグランバニアもラインハットも勝手に入国しておいて問題を起こすのだろう!
だがそんな文句を言ってる場合ではないので、リュカさんが去るや直ぐに捜索隊を組織して山奥の村近辺に向かわせた。
リュカさんの言い分では事件が起こったのは“昨晩”との事なので、既に夜が明けてる現段階では大分時間が経過してしまっている。
だがせめて遺体だけでも見つけないことには言い訳も出来ない。
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