第1章 守らなければならないものがある
2話「襲撃」
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ハハッ! あっけないねぇ、魔法って大したことないんだねえ!」
「……」
私がやるべきことは、できるだけ足元に転がる死体の損傷を増やさずに、このローブの男を倒すこと。
まだ、"この戦闘員たちは助かる"。
「どうしたぁ? ショックで言葉も出ないかぁ! 今なら降参って言えば助けてやらなくもねぇよぉ? 顔はいいみてえだし、よくしてやるよ?」
「興味ないですね」
「……あ?」
周辺を巻き込むような魔法は禁止。異能は基本的に一人一つ。今見た情報的に、相手の異能は声で相手を操るもので他の能力はないだろうから、接近戦ができる。
魔法で自分に備えられた聴覚の仕組みを破壊。音が聞こえなくなるが、きっとこの対処は効果的だろう。
相手はきっと私のことを人間だと思い込んでいる。そもそも魔法自動人形の存在はまだ知れ渡っていないから、人間じゃないと気づくこともないはずだ。
異能を使って油断したところを、一発殴って仕留める。それだけで_____
いや、そんなまどろっこしい工程を踏む必要もないか。
「早くやりましょう。時間がもったいないです」
「……ハッ、ぶっ殺してやる」
再び足に集中し、思い切り地面を蹴って男に接近。
そして、何が起こったのかまるで理解していない様子の男の腹に手を当て、
「さようなら」
魔力を凝縮して細く鋭いレーザーをイメージ。それを寸分の狂いなく、人体を最も再起不能に陥らせるような通り方をするように放射。
一発手応えを感じたら、次はその太さを変え巨大な光の柱に。襲撃者の体を塵さえ残らないほどに焼き尽くし、飲み込んで____
と、いったところで魔法の発動を止める。
もうあの男はこの世界から綺麗さっぱり消えてしまった。私の仕事はこれで終わり。パンパン、と大袈裟に音を立てながら手を払って、達成感を噛み締める。
さて、ここからは別の者が仕事にあたる。この場所に留まっていてはきっと邪魔になるだろうし、私はいつもの部屋へ戻ろうか。
そう思って、先ほど魔法も使い全速力で駆け抜けた道を、ゆっくりゆっくり歩いて引き返すのだった。
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