夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第10話
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
失った自分が再び捕まるようなことがあれば、今度はどんな目に遭うか。どれほどこの身体を、丹念に味わうように嬲り尽くされるか。
「んっ……はぁ、あぁっ……!」
想像もしたくない。したくないのに、熟れた身体はあの痛みと火照りを思い出してしまう。下腹部が疼き、乳房の先が甘く熱を帯びる。じっとりと汗ばんだ白い肉体は僅かに桃色に染まり、柔肌から滲み出る濃厚なフェロモンが、芳しい匂いを振り撒く。
「……ッ! 来客に対して不親切な設計ね……!」
その時、真凛の眼前に大きな「落とし穴」が現れる。どうやら通路の床が一部崩落し、約30mもの距離がある「大穴」が生まれてしまったようだ。しかし、この奈落を避けて倒れる迂回路はない。このままでは、兵士達に追い詰められてしまう。
「……はぁッ!」
無論、為す術もなく殺される彼女ではない。真凛はチャイナドレスのスリットから覗く白い太腿に手を伸ばし、そこに装備されていたナイフを引き抜く。そして、大穴の真上に位置する通路の天井に切っ先を向け――柄のスイッチを押し込んだ。
すると、柄から勢いよく「射出」されたナイフの刃が、狙った先の天井に深々と突き刺さった。その刃と、真凛が握っている柄は強靭なワイヤーで繋がっており――刃を引き寄せようと柄の内部で猛回転するワイヤーの動きが、逆に真凛の身体を軽々と持ち上げてしまう。
「なっ……!?」
「……楽しかったわ。たまには、追いかけっこも悪くないわね」
やっとの思いで追い付いた兵士達が瞠目する中、真凛は皮肉に満ちた微笑を彼らに向けながら、地を蹴って空中に飛び出して行く。刃を引き寄せようとするワイヤーの力を利用し、大穴を飛び越えて行く真凛。
そんな彼女の背中を、兵士達の多くは指を咥えて見送ることしか出来ずにいた。天井に刺さった刃に向かって戻ろうとするワイヤーが、弧を描いて真凛の身体を奈落の向こうへと運んで行く。
「ただのナイフではなかったのか……!」
「まずい、このままでは……!」
「……逃すかぁあぁッ!」
だが、立ち尽くすばかりだった兵士達の中でただ1人。真凛の抹殺を諦め切れず、無謀を承知で大穴に向かってジャンプする男が居た。
先ほど真凛に気絶させられていた、クランツ曹長だ。彼は特殊強化服のパワーを頼りに、勢いよく地を蹴って真凛の背中に飛び掛かって行く。彼女に殺された、ミルド軍曹の仇を討つために。
「貴様の命だけは……刺し違えてでも貰って行くぞぉおおおッ!」
「……!」
その殺気を悟った真凛はハッと目を剥いて後方を見遣るが、空中では身動きが取れない。逆手持ちで振り下ろされたナイフの刃が、彼女の背中目掛けて一気に振り下ろされる。
「……っ!」
しかし、クランツ曹長のナイフが真凛の柔肌
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ