夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第9話
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ころだ。……匿名の通報など珍しくもないが、素人には知り得ない情報を幾つも出して来た女性が居てな。悪戯の類ではないと思って来てみれば、この事態……というわけだ」
「幸い、2人とも急所は外れていたみてぇだな。弾もとっくに抜けてるから、摘出の必要もない。しばらくは入院生活だが……なぁに、心配は要らねぇ。あんた達の回復力なら、すぐに現場復帰出来るさ」
ターボの問い掛けに対し、G-verYとタキオンの傷を処置している駿介達は静かにそう答えている。新世代ライダーの一員である、「仮面ライダーアルビオン」こと東方百合香。彼女の実兄である駿介が来たということは、同僚の百合香が自分達の身を案じて通報したのではないか……とターボは推測していたのだが、どうやら彼女が駿介達を呼んだわけではなかったようだ。
「東方君が通報したわけではない……。では一体、誰が君達を……ハイパーレスキューをここに……?」
「さぁな。……間違いないのは、俺達は傷病者であれば誰であろうと助けに行く。それだけだ。あんた達新世代ライダーだろうが……ノバシェードだろうがな」
「そういうこった。俺達ハイパーレスキューは、そういう連中の集まりなんでね」
GNドライブのその呟きに対し、答えを出せる者は居ない。それでも駿介と巽は迷うことなく、ただ真っ直ぐに己の使命に邁進している。この状況の「真相」を知るただ1人の女傑は水上バイクに跨り、マリンプロテクターサイクロン号の遥か後方から、駿介達の様子を見つめていた。
「……」
「どうした?」
「……いや」
その女傑の気配を直感で察していた駿介は、鋭い顔付きで一瞬だけ振り返る。だが巽に声を掛けられた後、すぐに気を取り直すように処置を再開していた。
誰の思惑が絡んでいようが、誰に利用されていようが関係ない。どんな相手であっても、ハイパーレスキューの隊員が死に瀕している命を見捨てることはない。例えそれがノバシェードの構成員であろうとも、その一点に揺らぎはないのだ。
「……そうね。あなたはそういう男よ、東方駿介」
決して揺らぐことのない信念に従い、己の使命に邁進する駿介。そんな彼の逞しい背中を遥か遠方から見守っていた真凛・S・スチュワートは、1台の水上バイクに跨ったまま自嘲するような笑みを溢している。戦いの中で手を汚して来た自分とは「対極」であるとも言える、東方駿介という男。そんな彼の背は真凛にとって、このシャドーフォートレス島を照らす陽光よりも遥かに眩しいものだったのかも知れない――。
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