夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第9話
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ブの呼び掛けに対し、タキオンは安堵の息を漏らしながら己の未熟さを自嘲していた。一方、G-verYは喋る余裕も無かったのか、女座りの姿勢で悩ましく息を荒げていた。
「……」
そして――ミロス・ホークアイザーという男の確実な「死」を実感したターボは仮面を外し、憂いを帯びた貌を露わにしていた。赤い仮面を小脇に抱えたターボは、手元に残されたホークアイザーの認識票に視線を落とし、物憂げな表情を浮かべている。朝陽に照らされた彼の赤い外骨格が鮮やかな光を放ち、首に巻かれた白いマフラーが海風に靡いていた。
「……いいや。あの時のアイツは……敵なんかじゃなかったさ」
「……あぁ、そうかもな」
タキオンに言われた通り、立ち止まってなどいられない。例え悲しみながらでも、自分達が警察官であり仮面ライダーである以上、この戦いの旅から降りるわけには行かない。
ターボはその宿命を胸に刻み、タキオンが溢した「敵」という言葉を否定する。仮面を外して素顔を露わにしたタキオン自身もまた、ターボの呟きに静かに頷いていた。
「……」
その一方で。ターボの背中を見つめるGNドライブの脳裏には、ホークアイザーが最期に残した言葉が過っていた。
――「仮面ライダー」の名は……俺達には、過ぎたものだったようだ。お前達に……返、す――
あの言葉が何を意味していたのかは、今でもハッキリとは分からない。だが、仮面ライダーを想起させるあの外骨格の形状を見れば、ある程度の事情を推し量ることは出来る。彼らは自分達を超えた存在に――この時代の仮面ライダーになろうとしていたのだろう。
「……馬鹿なことだよ。『仮面ライダー』はなろうと思ってなるものじゃない。その力で何を為すか。何のための力か。……大切なのは、それだけさ」
「ですが……『仮面ライダー』の名は、ますます重くなってしまいましたわね。彼らの屍を超えて行くことになった以上……私達は、決して道を誤ってはならない。『仮面ライダー』であるということには……それだけの責任がある。それを肝に銘じなければなりませんわ」
「……あぁ。俺達がライダーでいるっていうのは……そういうことなのかもな」
悲しげにそう呟くGNドライブは、ターボの手元に残されたホークアイザーの認識票から目を背けるように踵を返す。G-verYも同じ気持ちだったのだろう。彼女も仮面の下で苦い表情を浮かべ、唇を噛み締めていた。その言葉に頷くターボは、涙を堪えるように空を仰いでいる。
決して世間に肯定されることなく、全世界から絶対悪として断罪されるしかないノバシェード。その一員に堕ちながらも、最後には己の死に様よりも大切なものを見付けたホークアイザーという男。
そんな彼の最期を目の当たりにしたからこそ。ターボはせめて自分達だ
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